睡眠の質を高めるためには4-6-11の法則に従って、昼間の過ごし方を工夫したり、入眠後に訪れる最初のノンレム睡眠(90分間)をいかに深くすることが良質な睡眠につながるのか、最新の睡眠研究成果に基づくテクニックをこれまで記事で紹介しました。
朝目覚めたら、4時間以内に太陽を浴びて、手足を冷やすことで覚醒を促しますが、その前段階として毎朝すっきり目覚めるためのコツがあります。
睡眠サイクルの中に目覚めのベストタイミングがあることをご存知でしょうか?
もちろん7~8時間の良質な睡眠をとることは大前提ですが、この目覚めのベストタイミングにあわせて、目覚ましをかけてあげることで、これまでにないほどスッキリとした状態で起床することができるのです。
スッキリ目覚めのタイミングは体動を知るべし
これまで、睡眠には眠りの深いノンレム睡眠と眠りの浅いレム睡眠があり、90分のサイクルでやってくるレム睡眠(眠りの浅い状態)で起きるとすっきり目覚められることが定説となっていました。
睡眠サイクルは90分でやってくる、と。
ただ最近の研究結果によると、どうやらノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルにはばらつきがあって、個人差や体調による差もあり、必ずしも90分サイクルではないということがわかってきました。
そして、眠りの浅いレム睡眠状態にあることは、寝返りといった「体動」がサインとなるようです。
つまり、体が目覚めの準備をするために「体動」を頻繁に起こすような状態=レム睡眠状態で起こしてあげることで、すっきり目覚めることができるということになります。
スッキリ目覚めのタイミングを計る方法
1.スマートフォンの目覚ましアプリの活用
なるほど仕組みは理解できたけれども、それでは具体的にどのようにすればこの「体動」を検知して、眠りが浅くなるタイミングをもって起きることができるのか?
自分自身は寝てしまっているので、そもそもそのタイミングを知る術もないのではないか?という疑問が浮かびます。
その疑問を解決する方法として、就寝中に外部から体動を検知して、起床するきっかけとなる仕組みがあればよいのです。
一番簡単な方法はスマートフォンの目覚ましアプリケーションを使うことです。
仕組みとしてはとてもシンプルで、スマートフォンに搭載されているマイクや加速度センサーを活用して「体動」を感知することで、睡眠のリズムを把握することができるのです。
数ある目覚ましアプリの中から、今回私がオススメするアプリはiPhone用の目覚ましアプリ、「Sleep Meister(スリープマイスター)」です。
こちらの無料アプリを使うことで、睡眠時間や眠りの深さを誰でも簡単に計測することができます。
このアプリをインストールしたiPhoneを枕元において、アラームをセットしておけば、朝目覚めた時にその日の眠りの深さが時系列のグラフで表示されます。データとして蓄積しておけば、週単位、月単位でも比較することができます。
そして、スッキリした目覚めに欠かせない、最も理想的なアラーム設定がこのスマホのアプリで実現します。
それはスマホに内蔵されたセンサーを使うことで、「睡眠サイクル」をリアルタイムに検知し、浅い眠りのタイミングでアラームを設定できる機能です。
つまり、起床したい設定時刻に目覚ましを鳴らすのではなく、起床したい設定時刻よりも前から、センサーで睡眠状態をモニタリングして最も眠りの浅いタイミングでアラームを鳴らします。
このアプリでは設定画面で、起床したい設定時刻の10分~30分を5分間隔でアラームサイクルを御好みでセットすることができますので、ご自身の心地よいサイクルで調整してみましょう。
その際に参考になるサイクルがあります。
スタンフォード大学・睡眠生体リズム研究所の西野精治先生が著書でもオススメしている設定時間としては、起床したい時間の20分前小音量でアラームを仕掛けることです。
例えば朝6:30に起床したいとした場合、アラーム設定はその20分前の6:10~6:30にセットするのが理想です。
そうすることで、6:10~6:30の時間の中でもっとも眠りの浅い時点でアラームが鳴り、スッキリと目覚めることができるというわけです。
もちろん眠りのサイクルは一定ではないので、そのアラームサイクル期間中に眠りが浅くない場合もありますが、そこは目覚まし機能として6:30に鳴るため、うっかり寝過ごすことはありませんので、ご心配なく。
Sleep MeisterにはiOS版のみでAndroid版はありませんが、同様の機能をもったこちらのアプリ、「熟睡アラーム」がオススメです。
2.目覚まし時計2台活用でスッキリ目覚める
そもそもスマートフォンを所有していない、スマートフォンを寝室には持ち込みたくないなんて方には、「目覚まし時計」の2台活用をおすすめします。
これはスタンフォード大学・睡眠生体リズム研究所の西野精治先生の考案した起床法になります。
1.起床したい時刻の20分前に小音量のアラームをセットする。
音量の目安は、静かな部屋で耳をすませば聞こえるぐらいの音量にします。
尚、音量調節機能のついていない時計の場合は、スピーカー部分にテープを貼ったり、厚手の布でくるんだりして、音量を小さくする工夫をほどこします。※AC電源の目覚まし時計の場合は布でくるむと故障や発火につながるので要注意です。
また、目覚まし時計を2段階アラームにする際に注意する点としては、スヌーズ機能は使わないということです。
1度目のアラームでは目覚めず、二度寝してうとうとしているノンレム睡眠状態でスヌーズ機能により無理やり起こされてしまうと、かえってボーッとしてしまう場合もあるからです。
2.複数のアラームがセットできる時計の場合は、起床したい時刻の10分前にも小音量のアラームをもう1つセットしておくと、スッキリと目覚められる確率がアップします。
3.小音量のアラームに気づかずに寝坊することを避けるために、起床したい時刻には通常通り大音量のアラームをセットしておくことを忘れずにしましょう。
実は、わが家でもそれぞれを違うアラーム時刻を設定した目覚まし時計2台をつかって起床する習慣があります。
ただし、普段使っている目覚まし時計には小音量の調整機能がついていないので、同じ音量で2つの目覚まし時計をそれぞれ10分前と起床したい時間にあわせているだけでした。
今回、西野先生の考案した起床法に従って、10分前ではなく、「起床したい時刻の20分前セット⇒起床したい時刻にセット」の2段階アラームセットを行い、数日間実施していますが、なかなかよい気分で目覚めることができています。
10分前を20分前にしただけなのですが、その効果を実感しています。
※もちろんこの2段階アラームは目覚まし時計ではなく、スマホのアラーム機能をつかって小音量・2段階設定は可能です。
心地よい鳥のさえずりの目覚まし時計で快適なお目ざめ
1.鳥のさえずりのアラームが使える目覚まし時計
目覚まし時計を複数活用する起床法は効果を実感できるよい方法ですが、やはり朝からあの大音量の電子音で起こされるのは苦手な方も多いでしょう。
かくいう私も家族も含めて、電子音による大音量の目覚まし時計にはドキッ!とさせられることも多々あり、あまり好みではありませんでした。
そこで家族からのリクエストもあり、「小鳥のさえずり」のアラームが鳴る目覚まし時計を探し求めて購入し、ここ10年以上愛用しています。
こちらのセイコーの目覚まし時計ネイチャーサウンド(QM745M)をわが家では愛用しています。
グリーンとピンクの2色展開。
もう少しデザインが良ければよかったのですが、そこは機能重視でチョイスしました。
「小鳥のさえずり」はいわゆる波の音や清流の音と同じく「ネイチャーサウンド」の1種で、自然音の中に含まれる高周波が脳を活性化する効果があるといわれています。
またリラクゼーション効果により、小鳥のさえずりを聞くことで癒され心が安らぎます。
ベル音、電子音では目覚めが悪く、びっくりしてしまうため、小鳥のさえずりのようなアラームをさがしていましたので、まさにぴったりの目覚まし時計です。
なによりも、音がソフトなのがよいですね。
選べるアラーム音は①鳥の鳴き声、②電子音(ダンダントーン;4段階)、③ベル音の3つから選択できます。
①の鳥の鳴き声(ネイチャーサウンド)は、アラームのたびに1~3が順番に切り替わります。
1.カッコウ・ルリビタキ・コマドリ
2.ウグイス・メジロ・ノジコ
3.サンコウチョウ・オオルリ・アオジリラクゼーション効果
こちらのサンプルメロディはセイコーの公式サイトで視聴することができます。
参考(公式サイト) メロディ再生
カシオからも同様のネイチャーサウンド目覚まし時計がでています。
昔は海の音シリーズもあったようですが、現在はこちらの7種類の小鳥のさえずりアラームのみです。
2.スマホのアラームにネイチャーサウンドをセットする
鳥のさえずりをアラームにセットできる専用目覚ましを購入するのもよいですが、手持のスマートフォンのアラーム音をネイチャーサウンドにすることでももちろんOKです。
iTunes Storeでもこの手の音楽は販売されていますので、アラーム音にiTunesで同期した音楽を設定できる目覚ましアプリを使えば簡単です。
上で紹介した「Sleep Meister」でも自由にお好みの音楽に設定することができます。
毎朝スッキリ目覚めるためのコツのまとめ
以上、朝を清々しい気分でスッキリ目覚めるためのコツですが、まとめると・・・
1.眠りが浅いタイミング(レム睡眠時)で起きるのがベスト。レム睡眠状態は体動でチェックする。
2.スマートフォンの内蔵センサーを活用した目覚ましアプリ(Sleep Meister等)を活用すれば、体動を確認でき、最適なレム睡眠状態で目覚ましをかけることができる。
3.目覚まし時計を使う場合はスヌーズ機能はやめて、2段階アラームで。1回目は微音で短く、2回目は20分後に通常のアラーム音でセット。
4.小鳥のさえずりなどのネイチャーサウンドをアラーム音に使うと脳の活性化の効果あり、心も癒される。なによりもベル音よりも目覚めがよくなる。
まだまだ発展途上の睡眠の研究ですが、今回ご紹介したコツをうまく活用するだけで、これまでと違った至高の目覚めを手に入れることができるのです。
方法論としては非常にシンプルなので、今晩からでも試してみてぜひ実感することをおすすめいたします。
もちろん日中の生活習慣を規則正しく過ごし、良質な睡眠をとることがスッキリした目覚めの大前提になることは言うまでもありません。
そのコツについては、こちらの過去記事をご覧ください。