近年、スマートフォンの普及や動画配信サービスの利用拡大により、家庭内のWi-Fi環境はますます重要になっています。
しかし、従来のWi-Fiルーターは大きくて場所を取ったり、デザインがインテリアに合わなかったりと、設置場所に悩む方も多いのではないでしょうか?
そんな悩みを解決してくれるのが、TP-Linkから登場した「Archer Air R5」です。
厚さわずか8mm(最厚部は10.8mm)の超薄型デザインで、壁に設置すればまるで絵画のように空間に溶け込みます。
もちろん、デザインだけではありません。
「Archer Air R5」はWi-Fi 6規格に対応し、最大2402Mbps(5GHz)&574Mbps(2.4GHz)の高速通信を実現。さらにメッシュWiーFiにも対応しているので、後付けで家中をシームレスなWi-Fi環境で覆うことも可能です。
本レビューでは、「Archer Air R5」の驚きの薄型デザインと、5GHz帯で最大2402Mbps、2.4GHz帯で最大574Mbpsのワイヤレス通信の実力について検証・解説しています。
「Archer Air R5」の製品概要
個人的に注目したポイント
こんな人におすすめ
製品仕様について
公式サイト(製品仕様) Archer Air R5
製品名 | Archer Air R5 |
本体サイズ | 210×148×10.8mm |
本体重量 | 290g |
無線通信規格 |
Wi-Fi 6 |
Wi-Fi速度 |
AX3000 |
Wi-Fi性能 | デュアルバンド、OFDMA、エアタイムフェアネス、4ストリーム、4×4 MU-MIMO |
IPv6 IPoE(IPv4 over IPv6) | v6プラス・OCNバーチャルコネクト・DS-Liteに対応 |
動作モード |
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有線WAN/LANポート |
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その他ポート | USB Type-C電源ポート×1 |
Wi-Fiセキュリティ | WPA3,WPA2,WPA,WPA/WPA2-Enterprise (802.1x) |
ネットワークセキュリティ | HomeShield対応(詳細) |
VPNサーバ・クライアント |
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メッシュWi-Fi | |
利用間取り目安 | 3LDK |
最大接続台数 | 42台 |
アンテナ |
デュアルバンド高性能スマートアンテナ×4(5GHz×2、2.4GHz×2) |
入力電力 | 100~240V, 50/60Hz |
消費電力 | 17W |
システム要件 | Internet Explorer 11/Firefox 12.0/Google Chrome 20.0/Safari 4.0以上の Javaに対応したブラウザ |
ルーター管理 |
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パッケージ内容 |
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機器設定・セキュリティ機能について
Archerシリーズ共通の特長として、一見難しい印象のある無線LANルーターの設定でも、スマホの専用アプリ「Tether」を使えば、誰でも簡単にできます。
わかりやすいインターフェースで、初めて無線LANを設定する方でも、ガイダンスに従うだけで直感的に設定できたり、機器の状態チェックも可能です。
スマートフォン用アプリはこちらのリンクからダウンロードできます。
QOSやセキュリティ対策も万全
「Archer Air R5」は、最新セキュリティ規格「WPA3」に対応しているため、セキュリティ面でも安心して使うことができます。安心して使うことができます。
さらに標準搭載されている「TP-Link HomeShield」を使うことで、
など、インターネットを安全かつ快適に利用するための機能が無料で使えます(無料のベーシックプランの場合)。
VPNサーバ機能
「Archer Air R5」は、暗号化されたインターネット通信を可能にするVPNサーバー機能を搭載しています。
VPNプロトコルは、OpenVPN・PPTPの2つに対応。
VPNサーバ機能を活用することで、たとえば外出先で暗号化されていない公衆回線(街中のフリーWi-FiやホテルのWi-Fiなど)から、自宅のパソコンやNASにあるファイルにアクセスする時に、よりセキュリティーの高い安全な通信が可能となります。
汎用的なOpenVPNサーバーの設定は、こちらの公式FAQが参考になります。
「Archer Air R5」の製品レビュー
外観:薄型スリムなミニマルデザインでインテリアになじむ
「Archer Air R5」という名称からも、本体は一見、これが本当に無線LANルーター?と疑うほどの薄型のタブレットのような外観です。
マットなホワイトカラーは清潔感もあり、とてもスタイリッシュ。
どのような部屋でもインテリアの統一感を邪魔することがない、無駄のないデザインです。
手持のタブレットとのサイズ感を比べてみると、ご覧の通り。
壁掛け設置をメインに設計された、とてもコンパクトで軽量サイズであることがわかります。
厚さもWAN/LANポートのある下部でも10.8mmあるだけで、ほとんどが8mmの厚さです。
ポート部
「Archer Air R5」の下部には、外部インターネットと接続するためのギガビットWANポートが1つ、安定した有線接続可能なギガビットLANポートが1つ搭載されています。
ポートはポップアップ式で、接続する際に持ち上げる仕様です。
LANポートは1つですが、もちろんハブを増設することも可能。
充電はUSB type Cポートに付属のケーブルを接続します。
ルーター機能をもつ「Archer Air R5」の各ポートにすべてケーブルを接続すると、当然ながらケーブルが垂れ下がる仕様のため、少しやぼったく感じてしまうのは仕方ないところ。
ケーブル類の取り回しや配線隠しには多少工夫が必要かもしれません。
設置方法
壁面への取付け方法は、2通り。
背面上部にある付属のブラケットをネジ止めするか、または両サイドには付属の3Mシールを貼り付けて壁面に固定する仕様です。
薄型軽量のため、壁面や本棚や家具の側面、さらにはダイニングテーブルの下など、これまでWiFiルーターを設置できなかったところへの固定することができそうです。
気になる放熱性については、背面は薄型のため稼働中は温度があがるためか、ファブリックで一部覆われています。
実際に稼働中に触ってみると、ほのかに温かくなっているので、壁面に密着させて長時間設置する場合は、壁紙などの耐熱性に注意する必要がありそうです。
わが家の場合は壁紙が特殊な和紙のため、壁面設置は諦め、タブレットスタイルで設置してみました。
本体サイズがタブレットよりも小さめなので、通常のスマホやタブレットスタンドで代用することは可能です。
特長1:Wi-Fi6 AX3000デュアルバンドの高速通信
「Archer Air R5」は、最新の無線通信規格「Wi-Fi6(IEEE802.11ax)」に対応しています。
Wi-Fi6は従来の通信規格とくらべて、性能が格段に向上。
Wi-Fi6に対応するデバイスに接続することで、その威力を最大限に発揮します。
複数ユーザーとの同時接続を可能とする多重化技術(OFDMA)と同時通信の技術(MU-MIMO)を採用することで、たくさんのデバイスと同時に通信が可能となり、1つの無線ルーターに複数デバイスからのアクセスが集中しても安定します。
「Archer Air R5」では、最大42台まで接続可能。
スリムなデザインとのトレードオフの関係で、Archerシリーズの中ではパワーは劣りますが、見た目のスタイリッシュさを重視する方で、この範囲内で利用を想定しているご家庭であれば、必要十分なスペックでしょう。
ネットワークパフォーマンス結果①(単体)
ここでは、「Archer Air R5」単独での通信速度とWiーFiのカバレッジを計測して、その実力を検証します。
計測結果はこちら。
「Aecher Air R5」単体でも、デュアルバンドによるスマートアンテナのおかげで、見渡せる場所での通信スピードは、570Mbps(アップリンクも550Mbps)と非常に満足度の高い結果となりました。
一方で居住スペース全般でみた場合、親機から離れるにしたがって無線の電波状態が減衰。
もっとも離れた部屋(図下方)では、電波も弱くなり、通信スピードも19Mbps(アップリンクは5.8Mbps)とかなり落ちていることがわかります。
体感的にも通常のWEBサイトのブラウジングでストレスを感じるほど、速度とレイテンシーが低下していました。
特長2:メッシュWi-Fi対応(EasyMesh対応)で無線を拡張
上の検証結果からも、「Archer Air R5」単体ではスマートアンテナをもってしても、居住空間全体に安定したインターネット環境を構築することが困難であることがわかりました。
一方で、「Archer Air R5は、単体では電波が届きにくい場合でも、TP-Linkの中継器を後付けで追加することで、メッシュWi-Fi網を構築して、無線LANのエリアを拡張可能です。
従来の中継器では電波の届く範囲を広げることはできましたが、通信速度が犠牲になりがちでした。
メッシュWi-Fiは、通信速度をキープしながら無線の届く範囲を拡張。
さらに単一のネットワーク(SSID)上で動作するため、最適なWi-Fiに自動接続(シームレスローミング)が可能です。
また「Archer Air R5」は、TP-Link独自規格の「OneMesh」とWi-Fi業界標準規格の「EasyMesh」の2つのメッシュWi-Fi規格に対応しています。
中継器が他社であっても、EasyMesh規格対応製品であれば、「Archer Air R5」と連携してメッシュWi-Fi(EasyMesh)網をつくることができます。
ネットワークパフォーマンス結果②(メッシュWi-Fi)
ここでは、「Archer Air R5」を親機、同時発売された薄型スリムな「Archer Air E5」を中継器としてメッシュWi-Fi(OneMesh)を構築した環境下で、通信速度とWiーFiのカバレッジを計測してみました。
中継器「Archer Air E5」はR5と違って、LANポートをもたないため、無線経由で親機Air R5と接続します。
計測結果はこちら。
Air R5 単体の時よりもAir E5との組合せによるOneMeshによるメッシュWi-Fi網を構築することで、Wi-Fiのカバレッジが向上し、居住スペースのすみずみまで広がっていることがわかります。
また通信速度も大きく向上(19Mbps→210Mbps)しており、通常のインターネット利用では体感上、ストレスを感じないレベル感まで高めることができました。
※注意:TP-LinkのOneMeshでは、ルーター1台に対して中継機を3台以上接続することは推奨されていません2台以上の中継機を利用する場合、全ての中継機をルーターへ接続(並列接続)しましょう。
特長3:IPv6 IPoE(IPv4 over IPv6)対応で混雑回避
「Archer Air R5」は、は、次世代インターネット接続方式「IPv6 IPoE(IPv4 over IPv6)」に対応しています。
IPv6は、これまで大多数の人がアクセスしているIPv4(PPPoE)とはまったく別の通信回線となり、より高速で快適なインターネット接続が可能になります。
IPv6 IPoEを利用するためには別途回線契約が必要ですが、4K/8K・VR動画視聴やオンラインゲームもより快適な環境で楽しむことができます。
インテリアに溶け込む、機能性とデザインを両立した次世代無線ルーター
以上、TP-LinkのWi-Fi6対応無線LANルーター「Archer Air R5」のレビューでした。
「Archer Air R5」は、
が特長の薄型軽量の無線LANルーターでした。
従来のルーターの概念を覆す、斬新ともいえる薄型フラットな本体は、まるで絵画フレームのように壁掛けやスタンドに立てかけておけるので、省スペースで設置場所を選ばないのが最大の魅力です。
またコンパクトな本体にも関わらず、AX3000デュアルバンドで高速通信と高度なセキュリティ機能により実用性は十分です。
パフォーマンスは1台だけでは無線のカバレッジは限定されるのは否めませんが、複数台組み合わせることで、居住スペースのすみずみまで無線も拡張可能。
特にインテリアにこだわりの持つユーザーで、機能性とデザイン性を両立したルーターを求める方には最適な製品と言えるでしょう。
42台まで
同時接続可能