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TP-Linkの「Archer AX3000」は、Archerシリーズで最も小型なミドルクラスの無線LANルーター。
コンパクトな筐体には内蔵アンテナが採用されており、狭いスペースでも設置が可能です。
機能面でも最新の通信規格に対応するなど、高性能で拡張性に優れたWi-Fi通信を実現しながらも、価格を抑えています。
この記事では、「Archer AX3000」の特長、通信速度やカバレッジなどのパフォーマンスを検証し、使い勝手の良さをレビューします。
「Archer AX3000」の製品概要
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注目のポイント
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製品仕様について
公式サイト(製品仕様) Archer AX3000
公式サイト IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6)対応確認済みリスト
製品名 | TP-Link Archer AX3000 |
本体サイズ | 166x 157 x 45 mm(高さ×幅x奥行) |
本体重量 | 384g(スタンド込みの実測値) |
無線通信規格 | Wi-Fi 6 IEEE 802.11ax/ac/n/a(5GHz) IEEE 802.11ax/n/b/g(2.4GHz) |
Wi-Fi速度 | AX3000 5 GHz: 2402 Mbps (802.11ax, HE160) 2.4 GHz: 574 Mbps (802.11ax) |
Wi-Fi性能 | デュアルバンド、OFDMA、エアタイムフェアネス、DFS、4ストリーム、2×2 MU-MIMO |
IPv6 IPoE (IPv4 over IPv6) |
v6プラス・OCNバーチャルコネクト・DS-Liteに対応 |
動作モード |
|
有線WAN/LANポート |
|
Wi-Fiセキュリティ | WPA3,WPA2,WPA,WPA/WPA2-Enterprise (802.1x) |
ネットワークセキュリティ | HomeShield対応 |
VPNサーバ・クライアント |
|
メッシュWi-Fi | |
利用間取り目安 | 4LDK |
最大接続台数 | 42台 |
CPUプロセッサー | Dual-Core CPU |
アンテナ | デュアルバンドハイゲインアンテナ×2本 |
電源 | 12 V ⎓ 1.5 A |
システム要件 | Internet Explorer 11/Firefox 12.0/Google Chrome 20.0/Safari 4.0以上の Javaに対応したブラウザ |
管理アプリ | TP-Link Tether(iOS, Android) |
パッケージ内容 |
|
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機器設定・セキュリティ機能について
無線LANルーターの設定は初めは難しく見えますが、スマートフォン専用のアプリ「Tether」を使えば誰でも簡単に設定できます。
アプリには使いやすいインターフェイスがあり、初めて無線LANを設定する方でもガイダンスに従うだけで直感的に各種設定ができます。
スマートフォン用アプリは、こちらのリンクからダウンロードできます。
さらに詳細な設定(EasyMesh等)はアプリではなく、無線LANルーターの管理画面(GUI)からおこないます。
参考 TP-Linkルーターの管理画面にログインするには
参考 管理画面のエミュレータ
SafariやChromeなどのウェブブラウザを起動し、WEBブラウザでルーターの管理画面にアクセス可能です。
アドレスバーに http://tplinkwifi.net もしくは 192.168.0.1を入力しenterキーを押します。
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Wi-Fi6を最大限活用するための設定項目
また、Wi-Fi6の性能を最大限に引き出すためには、WEB管理画面の「ワイヤレス設定」より、以下の2つの項目を「有効」に切り替えておきましょう。
「Archer AX3000」のデフォルト設定では、いずれも「無効」になっています。
アプリの管理画面からは設定が現時点ではできないため、ブラウザでアクセスすることで設定変更可能です。
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※この機能を活かすためには、受け手のデバイス側もWi-Fi6対応の必要があります。
EasyMeshはWEB管理画面で設定可能
2023年3月現在、「Tether」アプリではEasyMeshの設定はできません。
Web管理画面にて、「EasyMesh」の項目より設定することで利用可能です。
QoSやセキュリティ対策も万全
「Archer AX3000」は、最新のセキュリティ規格「WPA3」に対応しているため、セキュリティ面でも安心して利用できます。
さらに、無料のベーシックプラン「TP-Link HomeShield」を使用することで、
など、インターネットを安全かつ快適に利用するための機能が無料で使えます。
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尚、HomeShieldはルーターモードでのみ使用可能です(ブリッジモード/アクセスポイントモードでは利用不可)ので注意しましょう。
VPNサーバー機能
「Archer AX3000」は、暗号化されたインターネット通信を可能にするVPNサーバー機能を搭載しています。
VPNプロトコルは、OpenVPNとPPTPの2つに対応。
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VPNサーバ機能を活用することで、たとえば外出先で暗号化されていない公衆回線(街中のフリーWi-FiやホテルのWi-Fiなど)から、自宅のパソコンやNASにあるファイルにアクセスする時に、よりセキュリティーの高い安全な通信が可能となります。
汎用的なOpenVPNサーバーの設定はこちらが参考になります。
参考 OpenVPNサーバー機能の利用に関して
「Archer AX3000」のレビュー
外観:アンテナ内蔵、スリム&コンパクトデザイン
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「Archer AX3000」は、Archerシリーズ最小クラス。
アンテナを内蔵しているにも関わらず、わずか166x 157 x 45 mm(高さ×幅x奥行)と超コンパクトです。
付属のスタンドを使うことで、縦置き・壁掛けの2つのスタイルを選べます。
最近リリースされた「Archer AX80」や中継器「RE900XD」と同じく、日本の住宅事情を考慮した省スペース設計の無線LANルーターといえるでしょう。
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隙間に設置できる縦型スタイルと壁壁け可能
【出典】TP-Link公式ページ
背面の拡張ポートは、「Archer AX80」のようなマルチギガビットポートやUSBポートがありませんが、ギガビットLANポートが4口もあるので、TVやストリーミングメディアプレイヤーといったデバイスには安定した有線接続が可能です。
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特長1:Wi-Fi6対応×4ストリームで高速通信
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「Archer AX3000」は、最新の無線通信規格「Wi-Fi6(IEEE802.11ax)」に対応しています。
Wi-Fi6は従来の通信規格とくらべて、性能が格段に向上。
Wi-Fi6に対応するデバイスに接続することで、その威力を最大限に発揮します。
Wi-Fi6には、複数ユーザーとの同時接続を可能にする多重化技術(OFDMA)と、同時通信の技術(MU-MIMO)を採用しているので、1つの無線LANルーターにたくさんのデバイスのアクセスが集中しても、通信が安定します。
「Archer AX3000」は、最大42台までデバイスを接続可能です。
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一般的なご家庭であれば、必要十分なスペックです。
これよりも多くの台数を接続したい場合は、上位モデル(Archer AX80)が100台まで可能ですので、ご利用の環境に応じてモデルを選択することをおすすめします。
ネットワークパフォーマンス結果
ここではWi-Fi6対応の「Archer AX3000」単独での通信速度とWi-Fiのカバレッジを計測して、その実力を検証します。
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Archer AX3000単体
計測結果がこちら。
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「Archer AX3000」単体でも、デュアルバンド4ストリームのおかげで、Wi-Fiのカバレッジも広く、すみずみまでカバーできていることがわかります。
親機よりもっとも離れた部屋(図左下)でも、電場状態はよく(緑色)、スピードもレイテンシーともストレスを感じません。
気になるスピードも、ダウンリンク(570Mbps)・アップリンク(350Mbps)とも、通常の利用においては十分満足のいくレベルです。
Archerシリーズとのパフォーマンス比較
以前レビューした上位モデル「Archer AX80」の結果と比較しても、アップリンク速度は落ちるものの、わが家の環境では匹敵するパフォーマンス結果となりました。
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同じ環境でのテスト結果
また、Archer AX72/73では、電波の強さは親機から離れれば離れるほど減衰してスピードも落ちていましたが、Archer AX3000では電波が部屋全域に安定していきわたっていることがわかります。
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※テスト時は上位インターネット回線100Mbps
※電波状態:良好(緑)>(黄色)>不良(橙色)
特長2:メッシュWi-Fi対応で無線範囲を拡張
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「Archer AX3000」は、単体では電波が届きにくい場合でも、後づけでTP-Linkの中継器を追加することで、メッシュWi-Fi網を構築して、無線エリアを拡張できます。
従来の中継器では電波の届く範囲を広げることはできましたが、通信速度が犠牲になりがちでした。
メッシュWi-Fiは、通信速度をキープしながら無線の届く範囲を拡張。
さらに単一のネットワーク(SSID)上で動作するため、最適なWi-Fiに自動接続(シームレスローミング)が可能です。
また「Archer AX3000」は、TP-Link独自規格の「OneMesh」とWi-Fi業界標準規格の「EasyMesh」の2つのメッシュWi-Fi規格に対応しています。
参考 TP-Link EasyMesh対応デバイス一覧
参考 TP-Link Forum: What is EasyMesh and how does it work with TP-Link routers and extenders?(EasyMesh/OneMesh/Deco Meshの比較あり)
ネットワークパフォーマンス結果(OneMesh)
今回は、OneMesh機能に対応したアンテナ内蔵型の中継器「RE900XD」を使って、メッシュWi-Fi網を構築して、そのパフォーマンスを検証してみました。
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Archer AX3000+RE900XD
計測結果はこちら。
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「メッシュWi-Fi×Wi-Fi6」で高速・広範囲な環境を実現できる
「Archer AX3000」単体でも、十分なスピードとカバレッジでしたが、親機から最も離れた部屋(上図左下)でも通信速度(アップリンク・ダウンリンクとも)が大きく向上、無線もより安定する結果となりました。
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独自規格のOneMeshは、中継器を最大2台まで増設可能。
ただし、メッシュWi-Fi機能は、ルーターモードでのみ使用可能です(ブリッジモード/アクセスポイントモードでは利用不可)ので注意しましょう。
ブリッジモードでメッシュWi-Fiを使いたい方は、同社のDecoシリーズがおすすめです。
特長3:IPv6 IPoE(IPv4 over IP6)対応で混雑を回避
「Archer AX3000」は、次世代インターネット接続方式の「IPv6 IPoE(IPv4 over IPv6)」に対応しています。
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IPv6は、これまで大多数の人がアクセスしているIPv4(PPPoE)とはまったく別の通信回線となり、より高速で快適なインターネット接続が可能となるわけです。
IPv6 IPoEを利用するためには別途回線契約が必要ですが、4K/8K・VR動画視聴やオンラインゲームもより快適な環境で楽しむことができます。
※IPv6 IPoE対応ISPはこちらを確認してください。
参考(公式サイト) IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6)対応確認済みリスト
まとめ:お手頃価格でも高性能!コンパクトなWi-Fi6対応無線LANルーター
以上、Wi-Fi6対応無線LANルーター「Archer AX3000」のレビューでした。
「Archer AX3000」はシリーズ最小のコンパクトな本体に必要な機能は搭載しながらも、メッシュWi-Fiにも対応するなど、将来的な拡張性もそなえたバランスのよい無線LANルーターです。
わが家の環境では、実測値も上位のルーターと遜色のない結果だったので、利用環境(広さや接続台数)が合致するのであれば、ベストバイの製品だと思います。
メッシュWi-Fiを構築したい方はDecoがオススメ!
居住スペースが広くて、最初からメッシュWi-Fi網を構築したい方には、同社のメッシュWi-Fiルーター「Deco」シリーズがおすすめです。
わが家のネットワークの中核を担っている、「Deco XE75」はWi-Fi6E対応トライバンドメッシュWi-Fiルーターです。
Archerシリーズではできなかった、ブリッジモード/アクセスポイントモードのでメッシュWi-Fi機能や、イーサネットバックホール機能※による安定したハイブリッドなネットワーク網を構築することが可能です。
※イーサネットバックホール機能は. ArcherシリーズではArcher C80など一部機種から段階的に対応中。