今年は「おうち時間」を満喫するため、わが家では「PlayStation 5」をはじめ、VRコンテンツやアプリケーション用の「Oculus Quest 2」といったリッチコンテンツを楽しめるガジェットが増えました。
4K/8Kクラスの高画質・大容量のエンタメコンテンツや、低レンテンシーが求められるオンラインゲームやVRアプリケーションを最大限に楽しむためには、最新の通信規格であるWi-Fi6対応は必須です。
今回レビューするTP-Linkの「Archer AX72」は、Wi-Fi6/IPv6 IPoE対応の無線LANルーター。
最新のガジェットを120%楽しめる、広帯域・低レンテンシーなワイヤレスネットワーク環境を手軽に構築できるハイスペックな仕様ながら、1万円前半で購入できるコスパ優れるモデルです。
TP-Link「Archer AX72」の概要
注目の3つの快適ポイント
- Wi-Fi6対応・デュアルバンドで4K/8K映像・オンラインゲームも快適
- IPv6 IPoE(IPv4 over IP6)対応でピーク時の混雑回避で快適
- 中継器との組合せによるメッシュWi-Fiで部屋のすみずみまで快適
仕様・スペック
製品名 | TP-Link Archer AX72 |
本体サイズ | 272.5×49.2×147.2mm(幅×高さ×奥行) |
本体重量 | 670g |
最大接続台数 | 80台 |
推奨利用環境 | 戸建て3階建、マンション4LDK |
ワイヤレス規格 | Wi-Fi 6 IEEE 802.11ax/ac/n/a(5GHz) IEEE 802.11ax/n/b/g(2.4GHz) |
Wi-Fi速度 | AX5400 5GHz:4804Mbps(802.11ax、HE160) 2.4GHz:574Mbps(802.11ax) |
IPv6 IPoE (IPv4 over IPv6)対応 |
v6プラス・OCNバーチャルコネクト・DS-Lite |
動作モード | ルーターモード ブリッジモード(アクセスポイントモード) |
有線WAN/LANポート | ギガビットWANポート×1 ギガビットLANポート×4 |
USBポート | USB 3.0ポート×1 対応フォーマット:NTFS, exFAT, HFS+, FAT32 機能:Apple Time Machine、FTPサーバー、メディアサーバー、Samba サーバー |
CPUプロセッサ | 1GHzデュアルコアCPU |
アンテナ | 高性能固定アンテナ×6 |
電源 | 12 V ⎓ 2.5 A |
システム要件 | Internet Explorer 11/Firefox 12.0/Google Chrome 20.0/Safari 4.0以上の Javaに対応したブラウザ |
パッケージ内容 | Archer AX72本体 ACアダプタx1 LANケーブルx1 かんたん設定ガイドx1 |
公式サイト Archer AX72(製品仕様)
公式サイト IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6)対応確認済みリスト
スマートフォン用設定アプリはこちら。
TP-Link「Archer AX72」のレビュー
外観:幾何学的なモダンなデザインがスタイリッシュ
TP-Linkのハイエンドモデルばりの、6本のアンテナを搭載。
4本が5GHz帯用、2本が2.4GHz帯用になっていて、角度は自由に変えられます。
幾何学的モアレ(縞模様)のベンチレーションホール(通気孔)が本体の天面と底面にほどこされている特徴的なデザイン。
この通気孔のおかげで、常時電源をいれたままのルーターでもほんのり温かくなる程度で、排熱性もすぐれていることを実感。
設置方法は、基本的な平置き以外にも、底面に壁掛け用のフックが備わっているので壁面設置や、別売りのスタンドを使えば、縦置きもできる仕様です。
デザインは人を選ぶものの、設置自由度が高いのもポイント。
また、外部ポートも充実。
背面にある有線WAN/LANポートは、1GbpsのギガビットWANポート×1、ギガビットLANポート×4を搭載しているので、無線接続以外にも有線接続による安定したインターネット接続も可能です。
本体右側面にはUSB3.0ポート×1があるので、外部ストレージ(USBメモリやSSD/HDDなど)を接続すれば「簡易NAS」機能を使うことができます。
参考記事 USB3.0ポートで簡易NASを使う方法
特長1:Wi-Fi6対応でサクサク!4K/8K映像も快適!
4K/8K(UHD)・VRコンテンツにも対応
「Archer AX72」は最新規格のWi-Fi6に対応、6ストリームで最大4804Mbps(理論値)のスピードをほこります。
この速度であれば、4K/8K動画やオンラインゲーム、VRコンテンツなど高い負荷が想定される用途であっても、十分に対応が可能です。
参考までに、動画コンテンツやVRに求められる通信速度をまとめてみました。
動画配信サービスの「Amazon Prime」や「Netflix」をはじめ、4K高画質対応コンテンツが主流です。
画質 | 画素数 | 必要な通信帯域 |
SD | 480p (720×480) | 1.5Mbps以上 |
HD | 720p (1280×720) | 3Mbps以上 |
FHD | 1080p (1920×1080) | 5Mbps以上 |
4K(UHD) | 2160p (3840×2160) | 25Mbps~40Mbps |
8K(UHD) | 4320p (7680×4320) | 80Mbps~100Mbps |
視聴に必要な最低回線速度 | 6Mbps |
標準版VR動画を視聴する際の推奨回線速度 | 24Mbps |
HQ(High Quality)版VR動画を視聴する際の推奨回線速度 | 50Mbps |
その点、高効率な64ビットのQualcomm CPUを搭載した「Archer AX72」なら、安心ですね。
Wi-F5とWi-Fi6対応ルーターの比較
性能の比較のため、速度と無線の電波の強度を計測してみました。
※上位回線の上限100Mbpsの環境下で「fast.com」にて通信スピードを計測
※スマホ用アプリ「Wi-Fiミレル」にて電波状況を計測
Wi-Fi5では親機から離れれば離れるほど、電波状態が弱くなり、スピードも遅くなっていることがわかります。
※電波状態:良好(緑)>(黄色)>不良(橙色)
一方で、Wi-Fi6対応の「Archer AX72」の計測結果はこちら。
一般的なWi-Fi5対応ルーターとの比較ではその差は歴然。
電波はWi-Fi6の方が広範囲に届いていることがわかわります。
親機からもっとも離れたところでは電波状態は弱くなっていますが、スピードは十分でていることが確認できました。
今回比較のために親機の場所を固定しましたが、「Archer AX72」を設置する場所を工夫することで、環境によっては無線の届く範囲とスピードが大幅に改善する可能性があります。
わが家の環境では、居住スペース中央にあるマルチメディアコンセントに親機をつなぐことで、無線環境がよくなりました。
特長2:メッシュWi-Fi対応で隅々まで届く!
居住環境によっては、親機の場所を移動することで多少、電波状態やスピードが改善されることもありますが、より広い場所や建物の構造によっては、電波が届きにくい場所がでてくることもありえます。
そんな時は、TP-Linkの中継器を追加することで手軽に無線のエリアを拡張することができます。
「Archer AX72」は、TP-Link独自規格のOneMeshに対応しています。
OneMeshは最大2台まで対応する中継器を増設可能です。
もしこれ以上の広さの場合は、TPーLinkのメッシュWi-Fiルータ(Decoシリーズ)を選ぶとよいでしょう。
早速、OneMesh対応の無線中継器「RE600X」をメッシュWi-Fiノードとして、追加してネットワークを再構成してみました。
結果、部屋のすみずみまで電波が届いており、スピードも向上していることが確認できました。
「Archer AX72」を設置後、電波が弱いかな?と思ったら、OneMesh対応中継器を追加するだけで、無駄なく無線を広げることができるので安心ですね。
特長3:IPv6 IPoE対応で混雑回避でスイスイ!
「Archer AX72」は、次世代インターネット接続方式である「IPv6 IPoE(IPv4 over IPv6)」に対応しています。
IPv6 IPoEの最大のメリットは、従来のインターネット接続に比べて「ピーク時の混雑回避」が期待できること。
従来のIPv4とIPv6は一般道と高速道路で例えられるように、特にネットワーク回線が混みがちな夜間の時間帯はストレスない接続環境を実感することができます。
このように、IPv6はこれまで大多数の人がアクセスしているIPv4(PPPoE)とはまったく別の通信回線となり、より高速で快適なインターネット接続が可能となるわけです。
対応する回線契約が別途必要になりますが、深夜の時間帯に4K/8K動画ストリーミング視聴やオンラインゲームのマルチプレイも、より快適な環境で楽しむことができます。
※IPv6 IPoEを利用するためには、対応した回線の契約と利用手続きをしておく必要があります。対応ISPはこちらを確認してください。
参考(公式サイト) IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6)対応確認済みリスト
「Archer AX73」との違いは?
「Archer AX72」は「Archer AX73」の廉価版モデルの位置づけ。
先に発売された「Archer AX73」と「Archer AX72」の違いは、ルーターに搭載されているCPU性能の違いです。
- AX73:1.5GHzトリプルコアCPU
- AX72:1GHzデュアルコアCPU
トリプルコアとはその名の通り1つの頭(CPU)に3つの脳があり、デュアルコアは1つの頭に2つの脳があると考えれば、わかりやすいです。
一般的にCPUパワーが高いと、
- 複数台同時接続でも安定しやすい
- 2.4/5GHz同時利用でも、通信速度が速くなる
- オンラインゲームプレイ時の通信遅延が少なくなる
- ブラウザなどのアプリ起動時間の短縮につながる
など、さまざまなメリットがあります。
逆に、ルーターのCPUの性能が足りない場合、Wi-Fiルーター内の処理で遅延が生じてデータ送信に遅延が発生します。
オンラインゲームや4K/8Kといった高画質動画の視聴といった高度な通信処理が必要な場合では、高性能なCPU搭載のルーターがおすすめです。
AX73の方がトリプルコアでCPUパワーがある分、利用環境によっては分があるケースもあるかもしれませんが、AX72はデュアルコアなので一般的な家庭で使う用途では十分です。
CPU性能は、キャッシュメモリーや動作周波数等の要素もあり、コア数だけで単純で性能を一概に比較することができません。
本レビューでは、私の居住環境でAX72とAX73の2機種を実際に使ってみましたが、スピードや無線の届く範囲など、その差を体感上あまり感じることはありませんでした。
推奨利用環境も、両モデルとも「戸建て3階建、マンション4LDK」となっており、最大接続台数も同じ「80台」となっていることから、性能差は微小であると考えることができます。
TP-Link「Archer AX72」を使ってみた感想
良かったところ
- Wi-Fi6対応で、PS5でのオンラインゲームもストレスなし
- Wi-Fi6対応で、Fire TVやOculus Quest2での動画視聴も◎
- スマートコネクトで2.4GHz/5GHzのSSID一本化できる
- 簡易NAS機能でファイル共有できる
- OneMesh対応で中継器後付けでメッシュWi-Fi構築できる
- IPv6 IPoE対応で深夜などの混雑する時間帯もさくさく速い
気になったところ
- 独特なデザインは人を選ぶかも(白好みならDecoシリーズ?)
- AX72とAX73は大きな価格差がないのでどちらを購入すべきか悩むかも
- OneMesh対応の中継器が白色しかない(黒色で統一したいかも)
TP-Link「Archer AX72」はこんな人におすすめ
- IPv6 IPoE/Wi-Fi6対応した1万円台前半の無線ルーターを探している方
- 無線LAN導入後、中継器後付けでメッシュWi-Fi対応を考えている方
- PlayStation 5やOculus Quest2で、オンラインゲームプレイやPlayStation 快適にしたい方
まとめ:4K/8K動画・VRコンテンツも快適に楽しめるWi-Fi6対応ながら、高コスパのハイスペック無線ルーター
「Archer AX72」は、Wi-Fi6×IPv6(IPoE)×メッシュWi-Fiに対応したハイスペック無線LANルーターです。
デュアルコアのCPUを搭載してパワーも十分。
これだけ高機能な無線LANルーターが1万円台前半で買える良い時代になりました。
あなたも「Archer AX72」を導入して、おうち時間をより快適に過ごせるネットワーク環境をつくりませんか?
OneMeshに対応した中継器はこちら。
Archer AX72と組み合わせて使うことで広範囲で安定したメッシュWi-Fi環境を構築することができます。