無線LANルーターはハイスペックになればなるほど、本体サイズが大きくて設置場所に悩みがちです。
今回ご紹介するTP-Linkの「Archer AX73V」は、日本の住宅事情を反映したアンテナ内蔵型のスリムな筐体で、わずかな隙間でも、すっきり縦置き設置できる無線LANルーターです。
コンパクトな本体はデザイン性はもちろん、機能性も十分。
次世代インターネット接続方式「IPv6 IPoE」にも対応するだけでなく、メッシュWi-Fiにも対応した拡張性のあるモデルです。
「Archer AX73V」の製品概要
個人的に注目したポイント
製品仕様について
製品名 | TP-Link Archer AX73V |
本体サイズ | 200 × 189 × 59 mm(幅×奥行×高さ) |
本体重量 | 609g(スタンド込みの実績値) |
無線通信規格 | Wi-Fi 6 • IEEE 802.11ax/ac/n/a 5 GHz • IEEE 802.11ax/n/b/g 2.4 GHz |
Wi-Fi速度 | AX5400 • 5 GHz: 4804 Mbps (802.11ax, HE160) • 2.4 GHz: 574 Mbps (802.11ax) |
Wi-Fi性能 | デュアルバンド、OFDMA、エアタイムフェアネス、DFS、6ストリーム、4×4 MU-MIMO |
IPv6 IPoE (Ipv4 over IPv6) |
v6プラス・OCNバーチャルコネクト・DS-Liteに対応 |
動作モード |
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有線WAN/LANポート |
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Wi-Fiセキュリティ | WPA3, WPA2, WPA, WPA/WPA2-Enterprise (802.1x) |
ネットワークセキュリティ | HomeShield対応(詳細) |
VPNサーバ・クライアント |
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メッシュWi-Fi | |
利用間取り目安 | 戸建て3階建、マンション4LDK |
最大接続台数 | 80台 |
CPUプロセッサー | デュアルコアCPU |
アンテナ | デュアルバンド高性能アンテナ×4 |
電源 | 12V/2A |
システム要件 | Internet Explorer 11/Firefox 12.0/Google Chrome 20.0/Safari 4.0以上の Javaに対応したブラウザ |
管理アプリ | TP-Link Tether(iOS, Android)、Web管理画面(GUI) |
パッケージ内容 |
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機器設定・セキュリティ機能について
無線LANルーターの設定は、特に初心者の方には難しい印象がありますが、スマートフォン専用のアプリ「Tether」を使えば、誰でも簡単にはじめることができます。
わかりやすいユーザーインターフェイスで、初めて無線LANを設定する方でも、ガイダンスに従うだけで直感的に設定が可能です。
後から子機を追加してメッシュWi-Fi網(OneMesh)を構築するときも便利です。
スマートフォン用アプリはこちら。
QoSやセキュリティ対策も万全
「Archer AX73V」は、最新のセキュリティ規格「WPA3」に対応しているので、セキュリティ面でも安心して利用することができます。
また、TP-Link独自の「HomeShield」機能(無料のベーシックプラン)を利用することで、
など、インターネットを安全かつ快適に利用するための機能が無料で使えます。
VPNサーバー機能
「Archer AX73V」は、暗号化されたインターネット通信を可能とするVPNサーバー機能を搭載しています。
VPNプロトコルは、OpenVPN、PPTP、L2TPの3つに対応。
VPNサーバー機能を活用することで、たとえば外出先で暗号化されていない公衆回線(フリーWi-FiやホテルのWi-Fiなど)から、自宅のパソコンやNASにあるファイルにアクセスする時に、セキュリティの高い安全な通信が可能となります。
汎用的なOpenVPNサーバーの設定はこちらの公式FAQが参考になります。
「Archer AX73V」の製品レビュー
外観:アンテナ内蔵型でスリムなデザイン
ハイパワーな無線LANルーターは外付けアンテナのモデルが多い中、「Archer AX73V」は、高性能なアンテナ4本を内蔵するタイプです。
アンテナ内蔵にもかかわらず、本体サイズはわずか200 × 189 × 59 mm(幅×奥行×高さ)とコンパクト。
付属のスタンドを使って安定した縦型設置、背面のひっかけを使えば壁掛けでも設置可能です。
背面の拡張ポートは、ギガビットLANポートが4口もあるので、TVやストリーミングサービス、ネットワークゲームなど安定した有線接続が必要なケースでも対応可能です。
特長1:Wi-Fi6対応×6ストリームの高速通信
「Archer AX73V」は、最新の無線通信規格「Wi-Fi6(IEEE802.11ax)」に対応しています。
Wi-Fi6は従来の通信規格とくらべて、性能が格段に向上。
Wi-Fi6に対応するデバイスに接続することで、その威力を最大限に発揮します。
複数ユーザーとの同時接続を可能とする多重化技術(OFDMA)と同時通信の技術(MU-MIMO)を採用することで、たくさんのデバイスと同時に通信が可能となり、1つの無線ルーターに複数デバイスからのアクセスが集中しても安定します。
「Archer AX73V」では、最大80台まで接続可能なので一般家庭では十分なキャパシティがあります。
ネットワークパフォーマンス結果
ここでは、「Archer AX73V」単体での実力を計測してみます。
「Archer AX73V」単体でも、デュアルバンド高性能アンテナ×4を内蔵し、最大5.4Gbps (4804Mbps + 574Mbps) の速度での通信が可能な上、6ストリームでカバレッジも広いため、親機1台でも各部屋で十分インターネットを使えるレベルです。
特に親機周辺での通信速度は770Gbpsもでているので文句なしです。
ただ一方で、上位モデルのArcher AX80や下位モデルAX3000と比較すると、親機から離れたところでは、やや電波が減衰して(部屋の下方隅が黄色になっている)、通信速度が落ちている他、レイテンシーがやや気になるレベルです。
特長2:メッシュWi-Fi対応で無線範囲を拡張
「Archer AX73V」は、単体では電波が届きにくい場合でも、TP-Linkの中継器を後付けで追加することで、メッシュWi-Fi網を構築して、無線LANのエリアを拡張可能です。
従来の中継器では電波の届く範囲を広げることはできましたが、通信速度が犠牲になりがちでした。
メッシュWi-Fiは、通信速度をキープしながら無線の届く範囲を拡張。
さらに単一のネットワーク(SSID)上で動作するため、最適なWi-Fiに自動接続(シームレスローミング)が可能です。
また「Archer AX73V」は、TP-Link独自規格の「OneMesh」とWi-Fi業界標準規格の「EasyMesh」の2つのメッシュWi-Fi規格に対応しています。
参考 TP-Link EasyMesh対応デバイス一覧
参考 TP-Link Forum: What is EasyMesh and how does it work with TP-Link routers and extenders?(EasyMesh/OneMesh/Deco Meshの比較あり)
特長3:IPv6 IPoE(IPv4 over IPv6)対応で混雑回避
「Archer AX73V」は、次世代インターネット接続方式「IPv6 IPoE(IPv4 over IPv6)」に対応しています。
IPv6は、これまで大多数の人がアクセスしているIPv4(PPPoE)とはまったく別の通信回線となり、より高速で快適なインターネット接続が可能になります。
IPv6 IPoEを利用するためには別途回線契約が必要ですが、4K/8K・VR動画視聴やオンラインゲームもより快適な環境で楽しむことができます。
※IPv6 IPoE対応ISPはこちらを確認してください。
参考(公式サイト) IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6)対応確認済みリスト
「Archer AX73V」のレビューまとめ
以上、TP-LinkのWi-Fi6対応無線LANルーター「Archer AX73V」のレビューでした。
「Archer AX73V」は、日本の住宅事情にあわせたコンパクト&スリムなデザインながら、パワーも十分。
さらにメッシュWi-FiやIPv6 IPoE(IPv4 over IP6)、VPNサーバーに対応するなど、将来的な拡張性もそなえたコスパのよい無線LANルーターです。
本体カラーがブラックで、縦型スリムなモデルを探している方には、ぴったりなモデルと言えるでしょう。