今回レビューするTP-Linkの「Archer AX80」は、日本の住宅事情を反映した縦型設置も可能なWiーFi6無線LANルーター。
デザイン性だけでなく、高機能。
次世代インターネット接続方式「IPv6 IPoE」に対応するだけではなく、マルチギガビット対応ポートや外部ストレージデバイスを接続可能な高速USB3.0ポートも搭載。
リモートワークでより安全な通信を必要とする方にも、VPNクライアント&サーバー機能をソフトウェア不要で無料で利用できるなど、高機能で拡張性高いモデルです。
「Archer AX80」の製品概要
注目のポイント
製品仕様について
公式サイト (製品仕様) Archer AX80
公式サイト IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6)対応確認済みリスト
製品名 | TP-Link Archer AX80 |
本体サイズ | 200 × 189 × 59 mm(幅×奥行×高さ) |
本体重量 | 569g(スタンド込みの実測値) |
無線通信規格 | Wi-Fi 6 IEEE 802.11ax/ac/n/a(5GHz) IEEE 802.11ax/n/b/g(2.4GHz) |
Wi-Fi速度 | AX6000 5GHz:4804Mbps(802.11ax, HE160) 2.4 GHz:1148Mbps(802.11ax) |
Wi-Fi性能 | デュアルバンド、OFDMA、エアタイムフェアネス、DFS、8ストリーム、4×4 MU-MIMO |
IPv6 IPoE (IPv4 over IPv6) |
v6プラス・OCNバーチャルコネクト・DS-Liteに対応 |
動作モード |
• ルーターモード |
有線WAN/LANポート |
• 2.5ギガビットWAN/LANポート×1 |
USBポート |
USB 3.0ポート×1 |
Wi-Fiセキュリティ |
WPA3/WPA2/WPA/WPA/WPA2-Enterprise (802.1x) |
ネットワークセキュリティ |
HomeShield対応 |
VPNサーバ・クライアント |
• OpenVPN |
OneMesh |
OneMesh対応 詳細 |
利用間取り目安 | 戸建て3階建、マンション4LDK |
最大接続台数 | 100台 |
CPUプロセッサー | 1.6GHzクアッドコアCPU |
アンテナ | デュアルバンド高性能アンテナ×4本 |
電源 | 12V/2A |
システム要件 | Internet Explorer 11/Firefox 12.0/Google Chrome 20.0/Safari 4.0以上の Javaに対応したブラウザ |
管理アプリ | TP-Link Tether |
パッケージ内容 |
• Archer AX80本体 |
機器設定・セキュリティ機能について
TP-Link製品の共通の特長として、一見難しい印象のある無線LANルーターの設定も、スマホ専用のアプリ「Tether」を使うことで、誰でも簡単にできるところ。
わかりやすいインターフェイスで、初めて無線LANを設定する方でも、ガイダンスに従うだけで直感的に各種設定が可能です。
スマートフォン用アプリはこちら。
QoSやセキュリティ対策も万全
気になるセキュリティ面でも、「Archer AX80」は最新セキュリティ規格「WPA3」に対応。
さらに「TP-Link HomeShield」(無料のベーシックプラン)を使うことで、
- ネットワーク内にセキュリティ上の弱点がないか診断
- 子供たちのインターネット利用時間を制限
- 不適切なコンテンツをブロック
- QoS設定
など、インターネットを安全かつ快適に利用するための機能が無料で使えます。
「Archer AX80」のレビュー
外観:縦置き可能、アンテナ内蔵のスリムなデザイン
従来の外付けアンテナが特長であった「Archerシリーズ」とは違って、4本のアンテナを内蔵するタイプ。
本体はスリム、且つ軽量(約570g)。
付属のスタンドを使うことで、縦置き・横置き・壁掛けの3つの設置スタイルから選べます。
国内向けということもあって、住宅事情を考慮した省スペース設計の無線LANルーターと言えるでしょう。
本体上面にはスリットがあるため、コンパクトながらクアッドコアCPUを搭載するハイパワーなAX80でも放熱性は十分です。
特長1:Wi-Fi6対応×8ストリームで高速通信
「Archer AX80」は、最新の無線LAN規格「Wi-Fi6(IEEE802.11ax)」に対応しています。
Wi-Fi6には大きく3つの特長がありますが、従来の規格に比べても性能が格段に向上しており、対応するデバイスで接続することで、その威力を最大限に発揮することができます。
複数ユーザーとの同時接続を可能とする多重化技術(OFDMA)と同時通信の技術(MU-MIMO)を採用することで、たくさんのデバイスと同時に通信が可能となり、1つの無線ルーターに複数デバイスからのアクセスが集中しても安定します。
「Archer AX80」では、最大100台まで接続可能なので一般家庭では十分なキャパシティがあります。
ネットワークパフォーマンス結果
ここでは、「Archer AX80」単体での実力を計測してみます。
「Archer AX80」単体でも、従来のArcherシリーズと比べて8ストリームのおかげもあって、カバレッジも広く、すみずみまでカバーできていることがわかります。
スピードもダウンリンク・アップリンクともこのクラスでの必要十分なレベルで、レイテンシーも問題ありません。
一番驚いたのは、電波がすみずみまで広範囲にわたって届いていることです。
離れた部屋(図左下)でも電波状態はよく(緑色)、スピード・レイテンシーの実測値とも満足できるレベルです。
以前レビューした外部アンテナ型のArcher AX72やAX73では下図の通り、親機から離れれば離れるほど電波が弱まり、スピードも落ちていたことからも、1.6GHzクアッドコアCPUと4本の高性能アンテナを内蔵した「Archer AX80」の底力を感じる結果となりました。
メッシュWi-Fiにも拡張可能
わが家の環境では居住空間全体に電波が届いていましたが、建物の構造やレイアウトによっては、電波が安定して届かないケースもありがちです。
そんな時でも、Archerシリーズは同社独自のメッシュ規格「TP-Link OneMesh」に対応しているので安心です。
エリア的に電波が弱いところも、中継器を追加することで、カバレッジを拡張することもできます。
特長2:IPv6 IPoE(IPv4 over IP6)対応で混雑回避
「Archer AX80」は、次世代のインターネット接続方式「IPv6 IPoE(IPv4 over IPv6)」に対応しています。
IPv6は、これまで大多数の人がアクセスしているIPv4(PPPoE)とはまったく別の通信回線となり、より高速で快適なインターネット接続が可能となるわけです。
IPv6 IPoEを利用するためには別途回線契約が必要ですが、4K/8K・VR動画視聴やオンラインゲームもより快適な環境で楽しむことができます。
尚、IPv6 IPoE接続時は「HomeShield」やVPN接続などの機能が利用できません。
これらの機能を併用したいと考えている方はデバイス側でのセキュリティ対策や、他VPNサービスの利用など別手段を検討しましょう。
※IPv6 IPoE対応ISPはこちらを確認してください。
参考(公式サイト) IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6)対応確認済みリスト
特長3:外部ポートが充実(USB接続、MultiGbE対応)
「Archer AX80」は外部ポートも充実しています。
マルチギガビット対応WAN/LANポート搭載
背面には1GbEポートが4つ(内1つはWAN/LAN共用)あるので、無線接続以外にも安定した有線LAN接続も可能。
また2.5GbEに対応したWAN/LANポートを1つ備えているで、マルチギガビットの有線接続が可能。
1Gbps以上の高速インターネット回線を契約している方であれば、WANとして使うことでそのメリットを最大限に受けることが可能です。
一方、わが家のように1Gbpsの上位回線の場合でも、家庭内LANでの高速通信として活用できるメリットはあり。
例えば、2.5GbE対応NASを「Archer AX80」の2.5GbEポートに接続することで、家庭内LAN(CAT5e以上のLANケーブル敷設されたLAN)では、NASにある大容量の動画や写真といったデータを、理論上2.5Gbpsの通信速度でストレスなくみることができます。
実際の通信速度は接続するNASのH/Wスペックに依存するので、この限りではありませんが、スピードは向上します。
簡易NASも構築可能なUSBポート搭載
「Archer AX80」には、背面に高速なUSB3.0ポートを1つ搭載。
USBメモリーや外付けHDD・SSDを接続することで、「簡易NAS」の環境を手軽に構築することができます。
Macユーザーであれば、「Time Machine機能」でMacにある全てのファイルをストレージデバイスにバックアップすることも可能です。
簡易NASの設定はこちらが参考になります。
また、暗号化されたより安全なインターネット通信をしたい方には、「Archer AX80」のVPNクライアント&サーバー機能を使うとよいでしょう。
VPNプロトコルも、OpenVPN/PPTP/L2TPの3つに対応。
例えば、出先で暗号化されていない外部公衆回線(街中のフリーWi-FiやホテルのWi-Fiなど)から、インターネットにアクセスしたり、自宅のパソコンにあるファイルにアクセスする時に、VPNを使うことで安全に通信を利用することが可能です。
汎用的なOpenVPNサーバーの設定はこちらが参考になります。
参考 OpenVPNサーバー機能の利用に関して
VPNクライアントの設定はこちらが参考になります。
参考 VPNクライアント機能の使い方
「Archer AX80」のレビューまとめ
以上、TP-Link「Archer AX80」のレビューでした。
「Archer AX80」は、Archerシリーズでははじめて縦型設置の可能になった、スリムなWi-Fi6対応ルーターです。
小さな筐体に1.6GHzクアッドコアCPUを搭載し、4本の高性能アンテナで部屋のすみずみまで電波が届く、コスパ優れるハイエンドモデル。
基本的なセキュリティ機能はもちろん、VPNクライアント&サーバー機能も別途ソフトウェア不要で無料で利用できるのも魅力的です。
将来を見据えた拡張性に加えて、必要な機能全部入りルーターとして、現時点で最もおすすめできるコスパ抜群のルーターと言えるでしょう。