インターネットに接続するデバイスが増えることで、家庭内に加えて、隣接する住居の電波干渉もあり、通信環境はますます悪化してストレスもたまるばかり。
今回レビューする「Archer AXE5400」は、このような電波干渉に強い、Wi-Fi6Eに対応したトライバンド無線LANルーターです。
Wi-Fi6Eにより電波干渉をリスクを回避、3つの帯域を使い分けることで、従来の通信規格よりもデバイス間の混雑も少なく安定したインターネット環境の構築が可能となりました。
また日本の住宅事情を反映したアンテナ内蔵型のスリムな筐体で、縦置き設置や壁掛け設置もできるレイアウトフリーの仕様で、あまりルーターを目立たせたくない方にもぴったりです。
「Archer AXE5400 」の製品概要
個人的に注目したポイント
こんな人におすすめ
製品仕様について
公式サイト(製品仕様) Archer AXE5400
公式サイト IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6)対応確認済みリスト
製品名 | TP-Link Archer AXE5400 |
本体サイズ | 200×189×59mm(高さ×幅x奥行) |
本体重量 | 628g(スタンド込みの実測値) |
無線通信規格 | Wi-Fi 6E IEEE 802.11ax(6GHz) IEEE 802.11ax/ac/n/a(5GHz) IEEE 802.11ax/n/b/g(2.4GHz) |
Wi-Fi速度 | AXE5400 6GHz:2402Mbps(802.11ax, HE160) 5GHz:2402Mbps(802.11ax, HE160) 2.4GHz:574Mbps(802.11ax) |
Wi-Fi性能 |
トライバンド、OFDMA、エアタイムフェアネス、DFS、6ストリーム、2×2 MU-MIMO |
IPv6 IPoE (IPv4 over IPv6) |
v6プラス・OCNバーチャルコネクト・DS-Liteに対応 |
動作モード |
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有線WAN/LANポート |
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Wi-Fiセキュリティ | WPA3,WPA2,WPA,WPA/WPA2-Enterprise (802.1x) |
ネットワークセキュリティ | HomeShield対応(詳細) |
VPNサーバ・クライアント |
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メッシュWi-Fi | |
利用間取り目安 | 戸建て3階建、マンション5LDK |
最大接続台数 | 100台 |
アンテナ | ハイゲイン内蔵アンテナ×4(6GHzアンテナ×2、5GHz&2.4GHzデュアルバンドアンテナ×2) |
電源 | 12V/2A |
システム要件 | Internet Explorer 11/Firefox 12.0/Google Chrome 20.0/Safari 4.0以上の Javaに対応したブラウザ |
ルーター管理 | TP-Link Tether(iOS, Android)、Web管理画面(GUI) |
パッケージ内容 |
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機器設定・セキュリティ機能について
Archerシリーズ共通の特長として、一見難しい印象のある無線LANルーターの設定でも、スマホの専用アプリ「Tether」を使えば、誰でも簡単にできます。
わかりやすいインターフェースで、初めて無線LANを設定する方でも、ガイダンスに従うだけで直感的に設定できたり、機器の状態チェックも可能です。
スマートフォン用アプリはこちらのリンクからダウンロードできます。
QoSやセキュリティ対策も万全
「Archer AXE5400」は、最新セキュリティ規格「WPA3」に対応しているため、セキュリティ面でも安心して使うことができます。
さらに標準搭載されている「TP-Link HomeShield」を使うことで、
など、インターネットを安全かつ快適に利用するための機能が無料で使えます(無料のベーシックプランの場合)。
VPNサーバ機能
「Archer AXE5400」は、暗号化されたインターネット通信を可能にするVPNサーバー機能を搭載しています。
VPNプロトコルは、OpenVPN・PPTP・L2TPの3つに対応。
VPNサーバ機能を活用することで、たとえば外出先で暗号化されていない公衆回線(街中のフリーWi-FiやホテルのWi-Fiなど)から、自宅のパソコンやNASにあるファイルにアクセスする時に、よりセキュリティーの高い安全な通信が可能となります。
汎用的なOpenVPNサーバーの設定は、こちらの公式FAQが参考になります。
「Archer AXE5400」の製品レビュー
外観:アンテナ内蔵、縦置き可能なスリムなデザイン
本体外観
「Archer AXE5400」は高性能なアンテナ4本を内蔵するため、外付けアンテナ搭載の無線LANルーターと比べて、スッキリとしたデザインです。
付属のスタンドを使って安定した縦置き、背面のひっかけを使えば壁掛けでも設置可能です。
本体上面と底面にスリットがあるので、放熱対策もほどこされており、長時間稼働でもあつくなることなく安定しています。
豊富なポート数で拡張性も十分
スリムな筐体の背面には有線ポートも充実。
2.5Gbps WAN/LANポート×1、1Gbps WAN/LANポート×1、ギガビットLANポート×3を備えています。
動画ストリーミングデバイスやネットワークゲームなど、安定した有線接続が必要なケースでも、ポート不足の心配がありません。
また、WAN/LANポートは1Gbpsに加えて、2.5Gbpsにも対応しているので拡張性も十分です。
特長1:Wi-Fi6E×6ストリームの低遅延・高速通信
「Archer AXE5400」は、最新のWi-Fi通信規格Wi-Fi6Eに対応、最大5400Mbpsの高速なWiーFi通信を実現します。
Wi-Fi6Eは、Wi-Fi6を拡張(Extended)された規格で、新たに6GHz帯の周波数を拡張したことにより、2.4GHz帯・5GHz帯・6GHz帯の3つに対応(トライバンド)になるため、使える周波数が多い分、電波干渉や混雑などで通信速度が低下しづらくなりました。
6GHz帯で使える通信帯域のチャンネルが、従来高速とされていた5GHz帯と比べても増加。
さらに6GHzでは、複数チャンネルを束ねて通信帯域の幅を広げる「ワイドバンド化」により、最大スピードが向上するだけではなく、大容量データでも少ない遅延で高速な通信が行えるようになりました。
これにより、通信ラグをおさえたいオンラインゲームをはじめ、4K/8K動画やVRコンテンツ視聴を快適に楽しめます。
トライバンド対応で周波数を使い分け
Wi-Fi6の「トライバンド対応」といえば、2.4GHz1つに5GHzを2つ合わせた無線LANルーターでしたが、「Archer AXE5400」は、従来の5GHz帯と2.4GHz帯に6GHz帯に加えた3つの帯域の電波を使える”真のトライバンドに対応した無線LANルーター”になりました。
最大通信速度も、3つの帯域をあわせて6ストリームで5,400Mbps(2.4GHz:574Mbps+5GHz:2.4Gbps+6GHz:2.4Gbps)もあるため、ユースケースに応じて帯域を使い分けることで、快適なインターネット通信をストレスなく楽しめます。
ネットワークパフォーマンス結果①(単体)
ここでは、「Archer AXE5400」単独での通信速度とWiーFiのカバレッジを計測して、その実力を検証します。
Wi-Fi6Eに対応した「iPhone 15 Pro」を使い、6GHzでの帯域での評価になります。
計測結果がこちら。
「Aecher AXE5400」単体でも、見渡せる場所での通信スピードは、Wi-Fi6E(6GHz接続)のおかげで非常に満足度の高い結果となりました。
一方で居住スペース全般でみた場合、親機から離れるにしたがって無線の電波状態が減衰。
もっとも離れた部屋(図下方)では、電波も弱くなり、通信スピードも落ちていることがわかります。
過去にレビューしてきた「Archer」シリーズの中では、ルーターの見通しのよいエリアでの通信速度は最速、一方、電波のカバレッジは最弱の結果となりました。
Archer AX73V(Wi-Fi6, デュアルコアCPU)
Archer AX3000(Wi-Fi6, デュアルコアCPU)
Archer AX80(Wi-Fi6, クアッドコアCPU)
特長2:メッシュWi-Fi対応で広範囲に無線を安定拡張
「Archer AXE5400」は、単体では電波が届きにくい場合でも、TP-Linkの中継器を後付けで追加することで、メッシュWi-Fi網を構築して、無線LANのエリアを拡張可能です。
従来の中継器では電波の届く範囲を広げることはできましたが、通信速度が犠牲になりがちでした。
メッシュWi-Fiは、通信速度をキープしながら無線の届く範囲を拡張。
さらに単一のネットワーク(SSID)上で動作するため、最適なWi-Fiに自動接続(シームレスローミング)が可能です。
また「Archer AXE5400」は、TP-Link独自規格の「OneMesh」とWi-Fi業界標準規格の「EasyMesh」の2つのメッシュWi-Fi規格に対応しています。
中継器が他社であっても、EasyMesh規格対応製品であれば、「Archer AXE5400」と連携してメッシュWi-Fi(EasyMesh)網をつくることができます。
ネットワークパフォーマンス結果②(メッシュWi-Fi)
ここでは、「Archer AXE5400」を親機、「Archer Air E5」を中継器としてメッシュWi-Fi(OneMesh)を構築した環境下で、通信速度とWiーFiのカバレッジを計測してみました。
こちらも計測デバイスとしては「iPhone 15 Pro」を使っていますが、6GHz帯域はOneMeshには対応していないため、2.4/5GHzでの帯域での評価になります。
計測結果がこちら。
一目瞭然、AXE5400単体の時よりもOneMeshによるメッシュWi-Fi網を構築することで、Wi-Fiのカバレッジが向上し、居住スペースのすみずみまで広がっていることがわかります。
また通信速度・レイテンシーも大きく向上(77Mbps→370Mbps、42Mbps→350Mbps)しており、インターネット利用ではストレスを感じないレベル感です。
尚、今回の計測テストではWi-Fi6対応(AX3000)の中継器(Archer Air E5)を使用しましたが、Wi-Fi6Eの速度を最大限に活かすためにはこちらのW-Fi6E対応中継器がおすすめです。
特長3:IPv6 IPoE(IPv4 over IPv6)対応で混雑回避
「Archer AXE5400」は、は、次世代インターネット接続方式「IPv6 IPoE(IPv4 over IPv6)」に対応しています。
IPv6は、これまで大多数の人がアクセスしているIPv4(PPPoE)とはまったく別の通信回線となり、より高速で快適なインターネット接続が可能になります。
IPv6 IPoEを利用するためには別途回線契約が必要ですが、4K/8K・VR動画視聴やオンラインゲームもより快適な環境で楽しむことができます。
※IPv6 IPoE対応ISPはこちらを確認してください。
参考(公式サイト) IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6)対応確認済みリスト
スリムで縦型設置可能な、Wi-Fi6E対応無線LANルーター
以上、TP-LinkのWi-Fi6E対応無線LANルーター「Archer AXE5400」のレビューでした。
「Archer AXE5400」は、
が特長の無線LANルーターでした。
単体での利用も可能ですが、より広い居住スペースで安定したWi-Fiを期待するのであれば、後付けで中継器を追加するだけで手軽にメッシュWi-Fiも構築できるので安心です。
現時点では6GHz対応機器がまだ少ないことが課題ですが、拡張性も高く、先をみすえて長く使える次世代無線LANルーターとして検討してみてはかがでしょうか?
設置できる!