9月1日の防災の日を迎えるにあたり、今回、備蓄品を含め防災グッズを改めて見直しをすることにしました。
防災グッズをそろえて数年経過しましたが、これから防災グッズをそろえる方のためのポイントと効率的な備蓄品の考え方について、簡単にまとめてみました。
防災グッズは3つに分けて考える
「防災グッズ」といえば、様々な種類がありますが、一般家庭では①「常時携帯品(0次携帯品)」、②「非常持出品(一次持出品)」、③「非常備蓄品」の3つに分けて考えることがポイントです。
①常時携帯品(0次携帯品)とは?
ふだん使っている鞄の中やポケットにいれて身に着けておくものです。災害はいつ何時発生するかわからないため、常に備えておくべき最低限の携帯品です。
②非常持出品(1次持出品)とは?
非常持出品(1次持出品)とは、いわゆる「避難グッズ」といわれるもので、リュックサックなどにひとまとめにしておき、緊急避難時にまず最初に持ち出しできる、必要最低限の備えです。
想定期間としては被災時・非常時の1日間をしのぐための品々という位置づけになります。
※非常持出品(1次持出品)のチェックリスト
非常持出品・常時携帯が推奨されるリストはこちら(リンク先:消防庁防災マニュアル)。
こちらを参考に自分にあった必要なものを準備されることをおすすめします。
③非常備蓄品とは?
非常備蓄品とは災害復旧までの数日間(最低3~4日程度)を自足するための備えです。
被災時・非常時にすぐに取り出せる場所(押し入れ、クローゼットなど)に保管しておく必要があります。
※最近では大規模災害が発生しており、3~4日程度ではなく少なくとも1週間の備えが必要だと感じており、わが家で1週間分を備蓄しています。
※非常備蓄品のチェックリスト
一般的な非常備蓄品のリストはこちらになります(リンク先:消防庁防災マニュアル)。
こちらを参考に自分にあった必要なものを準備されることをおすすめします。
①常時携帯品、②非常持出品、③非常備蓄品とリストにしてみると、とてもたくさんのものを準備しておく必要があることがわかります。
①②③をすべてのリュックにつめこむことは重量も重くなり、リュックを背負って移動することは困難になりますので、①+②、③と大きく2つに分けて備えることが現実的な考え方です。
これら携帯品や持出品、備蓄品は高齢者や赤ちゃんがいる場合など、家族構成によって大きく異なるため、一般的に公開されているリストを参考に自分たちに必要なものはなにかを考えて備える必要があります。
またすぐに避難できるよう持出品・携帯品をいれたリュックはベッドの傍などにおいておくとよいでしょう。
わが家の携帯品・持出品・備蓄品リスト【参考】
ご参考までにわが家のリストを紹介します。
さまざまな場所で公開されている防災リストを参考にして、自分に必要なものをExcelでリスト化してまとめてみました。
テンプレートはマイクロソフトが公開しているテンプレート、「防災用品チェックリスト(Excel)」をカスタマイズして作成しています。
0次携帯品と1次持出品がこちらのリストです。
2次備蓄品リストがこちら。
これをベースに不足分をそろえ、食料などの備蓄品については賞味期限をチェックして管理しています。
非常備蓄品におすすめ、効率的な備蓄方法「ローリングストック法」を実践するべし
非常備蓄品というと、「賞味期限が3年以上」、「賞味期限が5年以上」と長期間保存が効くことをPRした、いわゆる防災用非常食がありますが、わざわざそのために購入する必要はありません。
かくいう私も「防災グッズ」、「防災用非常食」という言葉に踊らさえれて、数多くの防災グッズを揃えていた時期があります。
しかし、非常備蓄品の新しい考え方を導入することで、日常的な習慣として取り込むことで、わざわざ「防災」のためにだけ考える煩わしさから解放され、安心感をもてるようになりました。
その効率的な備蓄方法は、「ローリングストック法」といわれています。
ローリングストック法で備蓄品の消費を習慣化
今回改めてご紹介する、「ローリングストック法」とは、言葉通り、備蓄品(ストック)を回転(ローリング)させて消費していく方法です。
つまり、備蓄した食品を定期的に消費し、食べた分だけ買い足していく効率的な備蓄法です。
食料品の場合、ひとりあたり3食×4日分=12食分の備えて、月に1回備蓄品だけで食事をとる機会を設定し、消費した分だけ買い足していくことを習慣づけることがおすすめです。
「日常生活」の中に「非日常」を取り入れることで、いざというときの慣れにもなります。
そして「非常食」であっても日常的に「食」を選ぶ楽しみを感じることができます。
また、何よりも実際に備蓄品を使って調理をしたりすることで、万が一の時にも慌てず対応することができ、また自分の好みにあった備蓄品に入れ替えたりすることで改善していくことも可能です。
今では日本の高い技術力により、缶詰やレトルト食品であればバリエーションも多く、賞味期限が1年以上あるものも数多くありますので、まさに時代にあった効率的な備蓄法といえます。
このローリングストック法を実践することにより、高額な防災備蓄用の食品(賞味期限が3年~5年以上とうたうもの、宇宙食など)を購入する必要はなく、普段の食生活で使っているものをストックし、定期的に消費することで有事の時に備えることができます。
これは食料品だけではなく、飲料水などその他備蓄品にも共通の考え方となります。
※出典:NHKそなえる防災
また、基本的にはこのローリングストック法をベースに非常備蓄品をそろえて備えますが、これに加えて在宅避難の場合では、数日間は冷蔵庫にある食料品から消費していくことになります。
※出典:イオンの防災
わが家のローリングストックによる1週間分の献立【参考】
ご参考までに備蓄品による、わが家の献立を紹介します。
まずはこちらが備蓄品リスト。
そして、こちらが献立となります。
まだまだ再考の余地がありますが、被災を想定して献立を考えると、バランスよく食事をとるためにはどうすればよいのか?を考えるよいきっかけになりますね。
主な非常備蓄品の目安
「ローリングストック法」による備蓄法が理解できれば、あとはどの程度の備蓄品を最初にストックしておけばよいのか?
事実として、これまで1995年の阪神淡路大震災や2011年の東日本大震災ではライフラインが停止し、復旧までには相当に日数がかかりました。東日本大震災の時は電気は6日、上下水道は24日、ガスが34日。阪神淡路大震災の時は、電気が2日、水道が37日、ガスが61日でした。
またライフラインの復旧目安は、内閣府が首都圏直下型地震などによる東京の被害想定をしており、電気(6日)→水(30日)→ガス(55日)の順番で復旧するため、これを念頭に備えておくとよいでしょう。
それでは次に特に重要なストック品と考えられる、「飲料水」、「食料品」、「非常用トイレ」、「トレイットペーパー」、「ガスコンロ」の5つについて目安をご紹介します。
①飲料水はひとり最低9~12リットル
人間が生命を維持するために必要な水の量は、大人で一日あたり2〜2.5リットル程度と言われています。
若干の余裕をもって一人一日3リットルがくみ置きの目安です。 3リットル×3~4日間=9~12リットル。
最近では大規模災害が続いているため、一人あたり1週間分(3リットル×7日間=21リットル)は備えておきましょう。
給水所が開設された場合は、給水袋や給水タンクなどが必要です。
また最寄りの給水所は各自治体の防災マップなどで公開されているので、事前に場所を把握しておきましょう。
場所によっては重たいタンクを手で運ぶことは大変なので、台車を準備しておくとよいかもしれません。
②食料品はひとり最低12食分
ひとりあたり3食×4日分=12食分、これを×家族分となります。
こちらもできれば1週間分そろえておき、朝・昼・晩のメニュー構成を考えておくと、実際の食事ボリュームだけではなく、栄養観点で不足していないか等が把握できるため役立ちます。
③非常時トイレ最低1日5回、1週間分
非常時のトイレ(防臭タイプ)は欠かせません。一人あたり1日5回分×1週間分は最低準備しておきましょう。
戸建ての場合は庭に穴をほって対処することできますが、特にマンションの場合はトイレが使えなくなる可能性が高いため、多めに準備しておく必要があります。
わが家の場合は50回分/一人(10日間分)を準備しています。
④トイレットペーパーは1か月分ストック
トイレットペーパーの国内生産の約4割が静岡県で行われているため、被災地域によっては深刻な供給不足になる可能性があります。
そのため、約1ヶ月程度のトイレットペーパーをストックしておくことが目安になります。
家族構成にもよりますが、大人2名で2~3パック程度(12ロール入り1パック)。
1次持出品としても1ロールをリュックにいれておくと便利ですよ。
⑤非常用トイレはひとり1日5回×7日分以上
飲料水と同じく、非常時のトイレ事情ほど深刻なものはありません。
生理現象ばかりは我慢できないものです。
被災して上下水道は使えなくなってしまうと、マンション住まいの場合は復旧に時間がかかる可能性もあるため、多めに準備しておいたほうがよいでしょう。
また水栓トイレを流すためには水が必要になるため、できるだけ節水するためにも非常用の簡易トレイを準備しておいたほうがよいです。
非常用トイレは衛生的な避難生活をおくるためにも、「防臭機能付き」のものを家族人数にあわせて備えておきます。
目安としては、大人1名1日3~6回トイレするとして、ライフラインの復旧等を想定して最低でも7日分、余裕をみて10~14日分備えておくとよいでしょう。
家族2名ならば(1日5回、大小とも各1回で計算)、
・家族2名×5回×7日=70回分
・家族2名×5回×14日=140回分
家族4名ならば、
・家族4名×5回×7日=140回分
・家族4名×5回×14日=280回分
となります。実際に試算すると、意外と数量が必要なことがわかるでしょう。
ちなみにわが家で追加で購入したのは、1日5回使用・10日間分で試算して、こちらの「驚異の防臭袋 BOS (ボス) 非常用 トイレ セット」50回分を複数購入して備えています。
やや割高ですが、消臭効果が期待できることもあって、こちらを選択しました。
凝固剤と汚物袋、防臭袋のセットで、基本1回で1セット使用します。
尚、消費期限があり、交換目安は10年ですので、定期的に交換する必要があります。
防災備蓄品は3~5年毎に定期的に見直していますが、やはり時代とともに進化してよいものが発売されているようです。
こちらのメーカーは介護用、ペット用でも実績ある防臭素材をつかっているので、万が一の時には大量に排泄物がでてしまっても「ニオイ」と衛生面で安心です。
また介護用の大人のおむつなども場合によっては非常時のトイレ代わり使えるので備えてよくといいかもしれませんね。
⑥カセットコンロ+ガスボンベ最低3~4本
主に調理するためには必要不可欠です。
通常、ガスボンベ1本で中火で約1時間少し程度使用できるので、災害時に1日あたり約30-40分調理に使用(2日で1本程度消費)した場合、1週間程度使える量を目安にストックしておきます。
1週間備えるのであれば3~4本程度。1ヶ月分であれば15本程度ストックしておくと安心です。
わが家では20本ほど常時ストックしています。
ただ意外と1日30分利用となると短いため、ガスボンベを多めに用意したり、備蓄品も温めないでそのまま食べられる食料、例えばレトルトの「おかゆ」などを備えておくと便利です。
※機種によってカゼットボンベの消費量や燃焼時間が異なるため、所有しているメーカーの商品で仕様を事前に確認しておくことをおすすめします。例えば、標準的なイワタニのカセットガスの場合、強火での連続燃焼時間は約65-70分程度。
※少し割高ですが寒冷地での屋外使用を想定した低温度対応ガス(通常よりも気化率の高いイソブタンの比率が高いハイパワーのガスボンベ)もあります。
※またカセットボンベは経年劣化するため、寿命は製造後6-7年を目安です。錆がはいったガスボンベは危険なので使用しないようにしましょう。
我が家の防災グッズから反省点をいくつか
わが家では東日本大震災より前から防災グッズは準備してきていましたが、今回見直すにあたり、本当に必要なものと実用的ではなかったものがありました。
・保存水(備蓄用)
こちらは以前記事にしましたが5年長期保存できる「富士山麓の保存水」を購入しました。
12リットル(1本2リットル入りボトル6本)×2ダース=24リットル。
こちらは日常的にミネラルウォーターなどを使わないため、保存水を選択したのですが、コスパはやはり通常のミネラルウォーターのほうが1/3程度ですむのでおすすめします。
ローリングストック法で運用する場合、通常1年間は賞味期限があるので問題ありません。
また、緊急避難用の一次持出品として、水500mlのペットボトルをひとりあたり2本準備しておくことも忘れずに。
・リュック(一次持出品)
リュックは1つ4-5kg程度と、緊急時に背負って邪魔にならないサイズと持ち運べる重さがポイント。
当初、見た目のよさから、コールマンの非常用リュックをかって詰め込んだのですが、サイズが大きく、さらに重すぎて背負って逃げるレベルではありませんでした。
一般的なリュックで十分です。
もちろん、すぐ持ち出せる玄関近くに置いておくことも忘れずに。
↓右側の頑丈なコールマンのサバイバルリュックは普段使いにはかなり大きく、重い・・・
一方、2次備蓄品はスーツケースや収納ボックスなどに取りまとめて、押し入れなどに収納しておくと取り出しやすく便利です。
・LEDランタンやラジオ
LEDランタンやラジオは電池をいれておき、すぐに使える場所に常備しておくことがポイントです。
以前、台風で停電した時は電池をいれてそばにおいておかなかったために、暗闇で非常袋にいれた電池を探してセットするのは大変でした。
現在愛用しているジェントスのLEDランタンはコンパクトながら、さすがキャンプ仕様のため非常に明るく、懐中電灯よりも断然おすすめします。
ラジオはソニーの防災ラジオを使っていますが、電池がなくても使え、携帯・スマホへ手回し充電できるものを備えておくと安心です。
もちろん手回し充電は大変なので、あくまでも補助機能と考えて、フル充電した大容量モバイルバッテリーと充電ケーブルを1セットにしていつでも使えるようにしておくことは肝要です。
・防災用長期保存の効く非常食(ビスコ、サクマドロップ、リッツ等)
あると確かによいのですが、非常食用は3年保存できるものの、非常にかさばり、内容物が少なく、そして価格が高めです。
通常のビスコなどは1年賞味期限あるので、必要ならば通常のタイプを買っておき、定期的に消費して補充するほうがよいです。
↓ 私はうっかり賞味期限を忘れて、無駄にしてしまいました。意外と場所をとるわりには内容物が少ない。
まとめ
以上、私の教訓としてまとめると、以下の3つのポイントとなります。
1.分けて備える
防災のために特別なものは特に必要ではなく日常的に使っているものを「常時携帯品(0次携帯品)」、「非常持出品(一次持出品)」と「非常備蓄品」の3つに分けておく。
2.ローリングストック法の習慣化
ローリングストック法で無駄なく備蓄、普段の生活の中で非常食に慣れ親しんでおく。特に備蓄品(食料)は災害用に特化したものである必要はなく、必ず事前に試しておき、好みの味のものをそろえておくことが大切。
3.ライフラインの復旧目安を知り、備える
ライフラインの復旧目安は首都圏直下型地震などによる東京の被害想定によると、電気(6日)→水(30日)→ガス(55日)の順番で復旧するため、それにあわせた備蓄品を備えておく。
日常生活の中で習慣化していくことが防災のポイントですね。