サラリーマンが年末調整では手続きができず、確定申告しなければならない控除として4つあります。
雑損控除、医療費控除、寄付金控除(ふるさと納税など)の3つに加えて、注目の「特定支出控除」です。
※住宅ローン控除については初回のみ確定申告が必要ですが、2回目以降はサラリーマンの場合、年末調整時にあわせて会社へ提出します。
この控除により、控除対象の費用で新たに税理士などの仕事に役立つ資格取得費や図書・衣服費などが認められるようになりました。
申告できる最低額も従来の給与所得控除を超える額から、給与所得控除の半額を超える額に引き下げられたため、申告しやすくなっています。
但し、他の控除と異なり、申請する場合は勤め先の会社などから「仕事に必要だった」との証明書を発行してもらう必要があります。
「特定支出控除」の対象となる支出とは?
特定支出控除の対象は通勤費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費、勤務必要経費の6種類です。
①通勤費 通勤のために必要な交通機関の利用等のための支出
②転居費 転勤に伴う転居のための支出
③研修費 職務の遂行に直接必要な知識等を習得するための研修に要する支出
④資格取得費 資格を取得するための支出でその者の職務に直接必要なもの。2013年分以降は、弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費も対象
⑤帰宅旅費 単身赴任などの場合で、勤務場所と配偶者が居住する場所との間の旅費に要する支出
⑥勤務必要経費(上限65万円) 職務に関連する書籍などの図書費、勤務場所において着用することが必要とされる衣服費、得意先との接待などの交際費等
※特定支出のうち、会社から支給される分があり、且つその部分に所得税が課されない場合は、特定支出に含めることはできません。
給与所得控除とは?
給与所得の金額は、給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて算出しますが、この給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて、次のようになります。ただし、給与等の収入金額が660万円未満の場合には、次の表にかかわらず、所得税法別表第五(年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表)(e-Govへリンク)により給与所得の金額を求めます。
◆給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額) 給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40%
650,000円に満たない場合には650,000円
1,800,000円超 3,600,000円以下 収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超 6,600,000円以下 収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超 10,000,000円以下 収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超 15,000,000円以下 収入金額×5%+1,700,000円
15,000,000円超 2,450,000円(上限)
(注) 同一年分の給与所得の源泉徴収票が2枚以上ある場合には、それらの支払金額の合計額により上記の表を適用してください。
特定支出控除の計算方法は?
次に特定支出控除の計算方法ですが、以下の式・図を参照ください。
例えば年収800万円のサラリーマンで特定支出控除の対象金額が120万円であった場合。
給与所得控除金額は200万円(800万×10%+120万)となり、その半分に相当する100万円を超えた部分が対象となります。
つまり、特定支出控除対象金額120万円-年間100万円=20万円。所得税率を23%とすると、20万×23%=4.6万円が特定支出控除として還付される金額になります。
下図は給与収入別の早見表です。ご参考まで。