古いパソコンや外付けハードディスクから取りだしたHDDやSSDを処分する方法に困っていませんか?
処分するにしても、ただ単純にパソコンのリサイクル廃棄や小物金属としてそのまま何もしないまま廃棄するだけでは、昨今の個人情報流出問題もあって心配です。
わが家にも、この20年以上前からたまりにたまった大量のHDDやSSDが長年放置された状態でしたが、この年末に向けての大掃除のいっかんで、ようやく重い腰をあげてすべて廃棄することにしました。
わが家に埃をかぶって放置されていたHDDは約20台以上もあり、一度に処分にするにはそれなりの時間がかかることを覚悟しなければいけないかと思っていましたが、意外と簡単且つ安全に廃棄できることがわかりました。
この記事では、私が実際に行った古いハードディスクの処分方法についてご紹介します。
故障した古いHDDやSSDの3つの処分方法
HDDやSSDの廃棄方法
一般的に家庭のHDDやSSDの廃棄方法としては大きく3つあります。
- 業者へ委託して廃棄する(完全おまかせ)
- 業者のHDD破壊サービスを利用して、破壊されたHDDは自分で廃棄する
- 自分でHDDを破壊して廃棄する
1つめの業者へHDDの廃棄を委託する方法は、最近ニュースになったHDD廃棄業者社員によるHDDの転売・データ流出事件もあったりするので、今となっては個人情報保護の観点からも信頼できません。
そのため、家庭でのHDD廃棄処分としては、基本的には2つめか3つめの方法を選ぶことになります。
2つめはビックカメラなどの家電量販店で「HDD破壊サービス」を利用する方法です。
ビックカメラ系であれば1台あたり、1,020円(税込)で専用マシンをつかってハードディスクを目の前で破壊してくれます。
※本体からHDDを取り出す場合、別途 520円(税込) の費用がかかります。
こちらのサービスを利用して、物理的にハードディスクを目の前で破壊してもらい、お住まいの地域のルールに従って自分で廃棄します。
今回の廃棄にあたっては、1台のみトルクスネジがなめてしまい、HDDが分解不可能となってしまったため、ビックカメラのHDD破壊サービスを利用してみました。
専用機による破壊作業は数十秒程度で終了します。
あっけないぐらいの早さです。
ただサービスカウンターが混んでいるときは待ち時間が発生するため、なるべく平日の受付開始を狙っていくとよいでしょう。
意外とHDDの解体・破壊には手間がかかるので、時間の節約を第一に考えるのであれば選択肢としてはいるのではないでしょうか?
ただし台数が多い場合はそれなりのコストもかかります。
となると、処分する台数が多い場合、一番安上がりで安心なのは3つめの「自分でHDDを破壊して廃棄する方法」が個人的にはおすすめです。
不要なパソコンの廃棄方法
パソコンを廃棄する際にも必ず業者まかせにせず、自分でHDDやSSDを取りはずして解体・破壊した上で廃棄します。
ネット上には「モデル名 分解」で検索すれば、容易に解体方法を調べることができます。先駆者に感謝。
今回処分したものは、過去サブノートとして愛用していたモバイルの名機、VAIO type 505 EXTREME(PCG-X500CP)をはじめ、VAIO type S(VGN-SZ74B/B)、Dell Inspiron 14 5000(5459)、VAIO Z1X/P(PCG-5A1N)、VAIO VGN-SZ42PZ(PCG-6N1N)の5台。
パソコンからHDDやSSDを取りはずしたら、不要なパソコンはリサイクル法にのっとって適切に処理をしましょう。
パソコンはリサイクル法により、各メーカーで処分方法が決まっています。
基本的にリサイクル法が適用されたパソコンにはリサイクルのマークが記載されています。
記載されていない場合は特例を除いて、有償にて同様に廃棄処分を依頼することができます。
WEBで必要事項を記入して申し込んだら、窓口より郵便局の宅配便伝票が送られてくるので、指定の梱包方法にてパソコンを梱包して、集荷依頼をかけるか郵便局へ持参して送るだけ。
また小物家電リサイクルとして一部の量販店でも廃棄を依頼することができます。
「リサイクルマーク」がついていない古いパソコンの場合でも、有償(振込先払い)にて処分を依頼することができます。
故障した古いHDDやSSDを自分で処分する手順
今回処分にあたり、HDDやSSDの健康状態をチェックできる無料ソフト「CrystalDiskinfo」を使って、HDDの状態をみて使えるものと悪いものを選別したところ、今回廃棄するHDDは22台(内、外付けケース付き6台、ノートPC内蔵の5台)となりました。
※この時点で不良状況に加えて、そもそも故障でアクセスできないものも判明します。
当初ビックカメラの「HDD破壊サービス」を使ってまとめて処分を考えていましたが、20台ともなると廃棄だけで2万円以上の出費がかかることになるため、物理的破壊はスキマ時間で自分で行うことにしました。
私がおこなった方法は、ソフトウェアによるデータ消去とハードディスクの物理的な破壊です。
どのレベルまで消去するか(消去方式や消去回数)はそれぞれですが、ソフトウェアによるデータ消去とハードウェアの物理的な破壊の2段階を実行するほうがリスクが小さくなります。
ソフトウェアでデータを安全に消去する
万全をきして、まずデータ消去のソフトウェアを使って古いHDDのデータを完全消去していきます。
HDDデータ消去ソフトウェアには、無償・有償のものがありますが、どちらでも構いません。
私が使ったのはアイオーデータで提供されている無料ソフトウェアの「DiskRefresher」です。
こちらはUSB接続したHDDやSSDのデータ消去が可能(SSDのみアイオーデータ製のみ可能)です。
尚、この段階でパソコンに接続して認識できるHDDはデータ消去可能ですが、物理的にアクセス不能なものもあるため、そちらは物理的破壊のみで対応します。
取り出し済みのHDDやSSDは「SATA/IDE変換アダプタ」を使って、パソコンにUSB経由で接続してデータを消去します。
データ消去・暗号化ソフトウェア(参考)
暗号化や抹消のセキュリティレベルによって異なりますが、手に入れやすいお好みのソフトでよいと思います。
一般的な「ゼロ(乱数)を一度だけ書き込む」を選択した場合、250GBのHDDで約2~3時間かかります。
当然ながら、処理するHDDの容量や抹消レベルが上がればあがるほど処理時間がかかることになります。
ソフトウェア名 | 無料/有料 | 概要 |
DESTROY | 無料 | CD起動でハードディスクのデータを完全に抹消できるフリーソフト |
DiskRefresher | 無料 | 外付けHDD・SSDのデータを強固に消去するデータ抹消するソフト(有償版あり)。 アイオーデータ製HDD・SSDには制限なしで利用可能。 |
Bitlocker | 無料 | Windows(Professional以上)に標準搭載されている暗号化ソフト。HDDやSSD、USBメモリー、リムーバブルハードディスクのデータを暗号化できる。 |
ターミネータ10plus データ完全抹消 | 有料 |
抹消方式は、米国国防総省方式など用途に応じて選択できるセキュリティレベルが10段階から選べる。 |
古い外付けHDD(ケース内蔵)の場合、パソコンと接続するケーブルの規格が例えばUSB1.0など古いものもあり、低速のため、データ消去にも数日かかってしまうこともあります。
その場合はケースからHDDを取り出し、別途HDDのインタフェースにあったパソコンと接続するための上記変換ケーブル(USB3.0以上)を使えば、高速に処理ができます。
HDDやSSDを物理的に破壊する
ソフトウェア的にHDDのデータを完全消去したら、次は物理的に破壊します。
パソコンやハードディスクケースにはいったHDDを取り出して、自分で解体して破壊することは実はそれほど手間はかかりません。
慣れてしまえば、2台目以降は手際よく処置ができます。
外付けケースに内蔵されているHDDの場合、まずケースから取り除くことが必要です。
幸い、ネット上で型番で検索すれば大抵ケースを解体する方法がなにかしら紹介されていますので、そちらを参考にしました。
基本的にドライバーがあれば、解体することが可能です。
解体に必要な道具
- 特殊なドライバー(トルクスドライバー)
- ドライバー(マイナス・プラス)
- ペンチ
- 金づち
この中でも欠かせないのは「トルクスドライバー」と呼ばれる特殊な星形のドライバーです。
主として使うものは「T8」サイズですが、HDDの種類によってはより小さなサイズの「T6」などを使うケースもあるため、様々なドライバーがセットになったものを買っておくと、なにかと便利です。
私が買ったのはこちらのドライバーセットです。
パソコンだけでなく、過去にもTV用リモコンやゲーム機器の解体にも役立ちました。
HDD解体手順
HDDの外側のネジ(ほとんどがトルクスネジ)なので、トルクスドライバーを使ってすべてのネジをはずします。
注意点としてはラベル下に隠されたネジがあること。
指でなぞってネジ場所を特定、シールを剥がして隠されたネジをはずせば、すっぽり上下にわかるようにHDDのカバーがはずれます。
HDDカバーがはずれにくい場合は、マイナスドライバーを側面にさしこんでテコの原理で力を加えれば、比較的簡単に開けることができます。
今回すべてのHDDを解体してみたところ、隠されたネジが1本だけのケースが多かったのですが、中には最大3つのネジがシールで隠されていました。
HDD(3.5インチ)を開けた状態がこちら。
ちなみにノートPCに搭載されている、小型の2.5インチHDD(プラッタはガラス製)も同様な構造になっています。
最終的にデータを記録している円盤状の「プラッタ」を読み込めないように破壊すればよいのですが、HDDによっては複数枚プラッタがあるのでひとつずつはずしていく必要があります。
磁気ヘッダやランプロードなどの各パーツも同様にネジを取りはずしていくことで、プラッタがはずしやすくなります。
すべての「プラッタ」を取りはずしたら、サルベージされないようにすべて破壊します。
その際、「プラッタ」の素材に注意しましょう。
「プラッタ」の素材はアルミまたはガラスでできているので、それぞれにあった方法で破壊します。
アルミはマイナスドライバーで傷がつけやすく、叩けば金属音がします。
ガラスは傷がつきません。
アルミ製のプラッタはマイナスドライバーなどで両面傷をつけた後、ペンチなどを使ってねじ曲げます。
旧式のHDDに多いのがアルミ製。
プラッタに傷をつけた後、ペンチ2つではさんでまんべんなく捻じ曲げました。
ガラス製のプラッタは叩くと粉々に飛散して危険なため、必ず屋外で目を保護するものや手袋をして、ビニール袋にいれた上からハンマーで叩いて粉々に砕きます。
一振りだけで粉々になりますので要注意です。
(実は室内で作業中、うっかりガラスとは思わずペンチでまげてしまい、そこら中にガラスが粉々に飛散してしまい、まさに悲惨な状態になってしまったことは内緒・・・)
22台解体したところ、3台のみガラスでした。
ノートPCに搭載されている2.5インチHDDなど、最近のHDDにはガラス製のプラッタが多いようです。
これで完全にサルベージ(データ取り出し)ができなくなりました。
SSDの解体手順
※後日写真アップ予定
SSDも同様にネジをはずして本体カバーを取り除きます。
HDDと違ってSSDは円盤状のスプラッタではなく、データを記録するフラッシュメモリーチップを破壊します。
基盤についている黒いメモリーチップをラジオペンジなどでつまんで物理的に折って破壊するか、ドリルで穴をあける、またはハンマーで叩いて破壊します。
メモリーチップは重なって配置されていることもあるので、すべてのメモリーチップを忘れずに破壊するように注意しましょう。
解体したHDDやSSDの処分方法
アルミ製のプラッタは解体したその他のパーツとともに「小物金属」として分別してごみ出しします。
※SSDも同様に「小物金属」として出します。
ガラス製の場合は、割れたプラッタはビニール袋ごと新聞紙でつつんで「われもの危険」とマジックで書いて普通ごみへ。
残りのHDDのパーツは「小物金属」として分別してごみ出しします。
自治体によって処分方法が異なりますので、各自お住まいの地域の公的機関のホームページなどで調べておきましょう。
まとめ:古いHDDやSSDは自分で処分できる
故障などで使わなくなった古いHDDやSDDを安全に処分する方法としては、ソフトウェア的にデータを完全削除の後、HDDを物理破壊すること。
自分自身でHDDを解体破壊して廃棄する方がコストも抑えて処分でき、コツさえつかめば意外と手間はかかりません。
処分したい台数が多い場合は、時間節約のために量販店の破壊サービスへ持ち込んでみるのもありですが、それなりにコストもかかります。
わずかな出費(特殊なドライバーセット1,000円程度)だけで、自分でHDDを破壊してみてはいかがでしょうか?
複数台であっても慣れれば手早く解体・破壊できるようになります。
意外と簡単ですよ。