図書館で岡村 聡さんの「完全レベル別 30代~50代のための海外投資「超」入門」を借りて読んでみました。
昨年春に予約して1年後にようやく借りることができました^-^;
全部で188ページで、約半分は基本・初級編として、特に時間があまりない社会人や投資初心者向けの有効な投資手法として、オーソドックスな「分散・積立・インデックス」について簡単に解説しています。
これはカン・チュンドさんをはじめ最近ではよくおすすめ投資法として紹介されている内容なので、正直いまさら感があります。
ですので、はじめて海外投資をはじめたい方にはおすすめの本ですが、すでにインデックス投資などにより分散積立投資をはじめている方には前半は参考になりません。
まず著者は最初に「海外投資をする目的はなになのか?」を明確にするべきといっています。
具体的な積立額や年率リターンをイメージすることが大切と。
※私の場合は将来のための自分年金づくりのための手段としてはじめました。
特に初心者は大きな損失をださないことが大切で、そのための「分散」、「積立」、「インデックス」を紹介しています。
その上で岡村さんが推奨するポートフォリオ(著作2012年3月時点)は、次の通りです。
◆年率リターン3%
国内株式40%、先進国株式20%、先進国債権20%、新興国株式20%
(構成比率:国内40%、海外60%)
◆年率リターン5%
国内株式20%、先進国株式20%、先進国債権20%、新興国株式30%、新興国債権10%
(構成比率:国内20%、海外80%)
リターンの80%以上はポートフォリオの内容で説明できるものとしています。
これは8%は投資のタイミング銘柄選定は6%しか投資リターンに影響しないという調査結果を引用しています。
過去データによれば、このポートフォリオで10年以上続ければ年率2%以上は可能とのこと。
1994-2010年データでは年率3%のポートフォリオでは平均3.9%(10年間)、5%では平均5.8%(10年間)です。
ちょっとここで気になったのは国内債券や先進国REIT、金などのコモディティはどうするのか?
著者は国内債券は信用不安のリスクも高まっているので対象外。
REITやコモディティはまだ市場の歴史が浅く、過去の値動きデータが十分ではないことで期待リターンを計算することが難しい等の理由で対象外にしています。
◆まずはインデックス投資信託で分散積立を始める。
上記ポートフォリオを構築するために、三菱UFJ投信のeMAXISをすすめています。
そして、まずはインデックス投信からはじめて、ある程度ボリュームのある資産になったら、ETFへ移行します。
資金が少ない当初は国内ETFでもよいですが、最終的には海外ETFのほうが銘柄カバー率が高く、取引量は多いため、トラッキングエラー率が低いのがおすすめの理由です。
◆ノーロード積立投資からETFへの切り替えは海外投資初心者の黄金パターン
ノーロード投信からはじめて「分散・積立・インデックス」投資を始めて、資産額が大きくなるにつれて、国内ETF、さらに海外ETFへと投資対象を拡大していくのが、海外投資初級者の黄金パターン。
著者によると、目安として運用金額が50万円ならば国内ETF、300万ならば海外ETF。
※カンチュンドさんの場合は運用資金が500万円以上がETFへの切り替えタイミングでした。
最低投資単位による。国内ETFならば1万円程度から。信託報酬がETFのほうがノーロード投信よりも0.3-0.4%低いのでおすすめ。
海外ETFは最低投資単位が数万円~10万円程度。資産が300万が切り替えのポイント。
手数料が国内ETFより高いが、トラッキングエラーでみると海外ETFのほうが1%低いので手数料コスト0.5%は十分に吸収できるレベルなので気にしなくてもよいとのこと。
◆投資を長く継続するために、、、、リターン向上のためのリバランスの重要性
安くなったものを買って、高くなったものを売る。機械的にリバランスを行う。
リバランスの目安は半年ごとに構成比率を調整、初期の投資比率と現時点での構成比率が2-3%以上ずれた場合はリバランスを実行する。
ノーロードから資産残高に応じて、各資産おすすめの国内ETFと海外ETFへ切り替えとリバランスを同時に行うとリターンが向上。
国内ETFの場合は債券はおすすめないため、国内株式のみ国内ETFへ切り替え、海外ETFへは国内ETFから海外ETFへ切り替えます。
◆岡村さんおすすめ切り替え先ETF
①ノーロードから国内ETFへ(資金50万)
国内株式 1306 TOPIX上場
先進国株式 1680 海外先進国株式
先進国債権 eMAXIS先進国債権
新興国株式 1681 海外新興国株式
新興国債権 eMAXIS新興国債権
②国内ETF/ノーロード(債券)から海外ETFへ(資金300万)
国内株式 1306 TOPIX上場
先進国株式 TOK iシェアーズ MSCIコクサイ
先進国債権 BND バンガードトータルボンド
新興国株式 VWO バンガードMSCIエマージング
新興国債権 EMB iシェアーズ JPMORGAN EMB
以上、ここまでが前半。
後半の中級編では投資リターンを高めて行くためのアクティブ投資について、売買タイミング、損切りのルール。そしてパフォーマンス管理について書かれています。そして紹介している投資方法が年間サイクルでの「ダウの犬」戦略。これは別にこの本でなくてもネットでも情報はあります。
そして上級編としては、下落相場でもリターンを上げる空売りやヘッジファンドの利用法等について説明しています。
一通り読んでみましたが、超入門というだけあって、それほど目を見張るようなことが解説されているわけではなく、基本的なことが書かれているので、特に初級編はこれから海外投資をはじめてみようと考えている初心者向けの教材としてはよいのではないかと思います。
おススメ度:★★★(5つ星中)
以下、著書の目次を引用しておきます。
<目次>
基本編 序章 なぜ海外投資がいま必要なのか?
STEP0-1 海外投資が必要な3つの理由
STEP0-2 リスクをおさえて高いリターンを目指せる海外投資
STEP0-3 日本の信用不安にそなえる海外投資
初級編 第1章 投資スタイルを確立しよう
STEP1-1 投資の目標を決めることがスタート
STEP1-2 キーワードは「分散」「積立」「インデックス」
STEP1-3 目標リターン別のポートフォリオ
STEP1-4 投資初級者がやりがちなミス
初級編 第2章 投資を始めてみよう
STEP2-1 「分散・積立・インデックス」投資に最適な商品
STEP2-2 インデックス商品の比較ポイント
STEP2-3 日本で売れ筋の投資信託の問題点
STEP2-4 「分散・積立・インデックス」投資の始め方
初級編 第3章 投資を長く継続しよう
STEP3-1 リバランスをきっちりやろう
STEP3-2 海外投資初級者の黄金パターン
STEP3-3 海外投資の成功に不可欠な為替の知識
STEP3-4 初級者におすすめの証券会社
中級編 第4章 投資リターンを高めていこう
STEP4-1 割安な株に投資することの大切さ
STEP4-2 売買タイミングのルール
STEP4-3 アクティブ投資には損切りルールが不可欠
STEP4-4 投資パフォーマンスをきちんと管理しよう
上級編 第5章 どんなときでもリターンを目指そう
STEP5-1 下落相場でもリターンをあげる手法
STEP5-2 ヘッジファンドの利用法
STEP5-3 投資上級者が目指せるリターン
STEP5-4 資産規模の拡大とともに投資対象も拡大