「ゼロ秒思考」とは即断即決できるスキルのこと。
著者によると、頭が常に整理されていて、メモに直ちに書き、すぐに課題解決に取り組める段階をつきつめていけば、人は「ゼロ秒思考」に到達できるといいます。
この本では、この究極のステージである「ゼロ秒思考」に到達するためのシンプルな思考のトレーニング方法を学ぶことができます。
モノゴトを体系的に速く整理できるようなスキルを身につけたい方、普段からなんとなく頭にあるモヤモヤ感や悩みを解消したい方には、特にオススメの思考トレーニング方法です。
「ゼロ秒思考」に到達するためのトレーニング方法
「ゼロ秒思考」のステージに至るためには、「深く考える思考のトレニーニング」が必要です。
本書で紹介されている、誰でもどこでもできるシンプルな思考のトレーニング方法は、
- A4横の紙に1テーマ、1ページで書く
- 1ページに4~6行(20~30文字/行)
- 1ページ、1分で書く(書いたら2~3秒推敲)
- 毎日10ページ書く
- カテゴリー毎にフォルダに分類する(随時カテゴリ名は見直し)
- 3か月後、6か月後に時系列でみる(自己成長を確認)
ただこれだけです。
基本フォーマットを図にするとこんな感じ。
※赤羽雄二著「ゼロ秒思考」より作成
このフォーマットで、A4用紙を横にして思いつくまま書き出します。
マッキンゼー出身の著者が、長年の経験や試行錯誤から確立された考える力を鍛える方法というからには、もっと高度なやり方を想像していたのですが、実にシンプルです。
ただ毎日10ページ書きだすことは、実際にやってみてわかったのですがなかなか大変です。
毎日何かしら考えていること、感じたことを吐き出す。
時系列でもなく、体系的に書く必要はなく、思った瞬間に書き出していく。
このシンプルなアウトプットの行為は、逆に同じ以上にインプットがないと成り立たないということに気づきます。
その点で、アウトプットするためにインプットも習慣づけることが大切だと、再認識させられました。
また、最初はA4用紙にこれだけの情報だと、紙がもったいないなぁ。。。もっと小さな紙であったり、アウトライナーやWord、テキストアプリを使ってデジタル的に記録したほうが効率がよいのでは?
と思ったりもしたのですが、実際にやってみると、ゆったりとしたスペースに手を使って書きなぐれる快感と、ほどよくあいたスペースには後から追記したりすることもできるので、なかなかいい塩梅です。
アナログ的に書き出す手法は、デジタルだとあまり頭に定着しづらいなと感じていたので、自分的には納得感がありました。
メモ書きを発展させてさらに使いこなす方法
ある程度の期間、数週間ほどメモ書きを継続して習熟してくると、次へのステップとして、次のポイントでメモ書きをするとよいと記されています。
- メモの深堀り
- メモを多面的に書く
- メモを発展型で書く
これら3つを実践していくことで、さらにメモを使いこなすことができます。
具体的には、メモによっては1ページ1テーマで書いたものの中から、4~6行書き出したものをそれぞれテーマに設定して、さらにメモを書くこと(メモの深堀り)。
これにより、書くたびに頭が整理されて考えが深まり、全体像を把握することができるメリットがあります。
これは企画書を作成する時なども効果を発揮します。
※赤羽雄二著「ゼロ秒思考」より作成
ドリルダウンして、結果的にはツリー構造で考えていることじたいはよくあることなので、それを紙に大きく書くことでより視覚的にとらえることができるのだと感じています。
1つのテーマを多面的に書くことで、様々な視点でモノゴトをとらえることができ、視野が広がる(メモを多面的に書く)。
そして、基本フォーマットに習熟してきたら、1ページに左右分けて書く(1ページ2分目安)ことで、さらに考えが深まる(メモの発展型)。
例)現状の問題点とその対策、強みと弱み、競合他社のアプローチと自社の取り組み、上司の役割と部下の役割、等々
※赤羽雄二著「ゼロ秒思考」より作成
こちらもプレゼンテーションなり、分析レポートやベンチマークなどをするにあたって、基本的な構成要素なのでしっくりきます。
実際、パワーポイントやテキストエディターにむかう前に、課題や要点を整理するために紙で整理することも多々あります。
メモ書きで期待できる効果
本書で紹介されている、メモ書きは思考や思想の言語化することです。
そのため「思考」の整理だけではなく、悩みや不安、怒りなど「感情」も整理することができるメリットがあります。
一般的に人は逡巡(しゅんじゅん)するものであることから、気づかないうちに何度も同じことを考えがちだったりするので、メモにいったん書き出すことで、頭の中にあったモヤモヤ感がメモという紙に可視化されるのです。
ここで本書で書かれているメリットを列挙すると、以下の通りです。
- 思考や感情を言語化できる
- 客観視できる
- 可視化できる
- 考えが深まる
- 全体像がみえる
- 形式知化できる
- モヤモヤが解消する
- 悩みが減る
- 平常心でいれる
- 自然体でいれる
- 逡巡(しゅんじゅん)を避けることができる
- 最善策を打てる
- 自信がつく
- ポジティブ(前向きな気持ち)になる
こういったことを、このシンプルなアウトプットのトレーニングで実現できるのであれば、一度はやってみない手はないのではないでしょうか?
メモ書きというアウトプット行為を通して、自分の頭や心にある思考や感情を可視化することを習慣づけることで、より深く考えるようになる。
そして、数か月後には全体像そのものが瞬間的にわかるようになる効果が期待できるのです。
究極的には、本書のタイトルである「ゼロ秒思考」の境地、即断即決で最善手を打てるステージに至ることができるのでしょう。
「ゼロ秒思考」のためのアナログなメモ道具たち
かくいう私も普段からメモをする習慣はあるものの、確固たる「手法」がなかったので、とにもかくにも思い立った時がはじめ時だと思い、即実践することにしました。
早速そろえたのが、こちらのメモ書き用の道具です。
もちろん家にある裏紙などを使ってやればよいので、最初からすべてをそろえる必要はありません。
私の場合は、数日何度かメモを書いてみて、A4横にメモを書き出すことがしっくりきたので、環境をつくってみることにしました。
「ゼロ秒思考」で推奨されたいたメモ道具は、
- PILOT VCORN直液式水性ボールペン(黒)
- クリップボード
- A4コピー用紙(裏紙可)
- クリアーフォルダー
- 3Mカバーアップテープ
でしたが、私がそろえたのは以下のアイテムです。
- PILOT VCORN直液式水性ボールペン(黒)
- キングジム マグフラップ(A4横)
- コクヨ コピー用紙A4(500枚)
- Okina プロジェクトペーパーA45ミリ方眼(100枚)
- ダイソー クリアーフォルダー(半透明、しっかり厚み0.20mm)
- ダイソー マスキングメモカッター付(テープ幅5/8/12/24mm×各6m)
ペン:PILOT VCORN直液式水性ボールペン
筆記用のペンとしてはジェットストリームを愛用していたのですが、さらっとメモを書く場合は水性のボールペンのほうが相性がよく、同じものを指名買い。
確かに筆圧も必要なく、手に余計な力がかからずに楽にメモが書けるので、使い心地はいい感じです。
クリップボード:キングジムのマグフラップ
クリップボードは、ダイソーにもシンプルなボードはありましたが、ここはこだわってキングジム製品を選択。
このマグフラップは、全長クリップカバーが紙上側をホールド、マグネットがついた底面フラップが紙の下側を押さえるので、ありがちな紙のめくれや折れを防いでくれます。
メモを書くときは底面フラップを裏返しに折りたためるので、紙の余白スペースも確保できます。
ちなみに、ダイソーで買ったケーブルクリップ(両面テープ付)を全長クリップカバーにつけて、ペンホルダーにしています。
オールインワンで持ち運びも最適。
書きたいときにペンをさっと取り出せて、さっとしまえるので便利です。
紙:コクヨコピー用紙+Okinaプロジェクトペーパー
紙は方眼タイプと白紙タイプの2種類を用意。
方眼紙が便利なOkinaのプロジェクトペーパーはメモ書き用としては1枚3.6円程度と割高です。
普段使いには、コクヨのコピー用紙A4(@1.2円程度)がコスパもよいでしょう。
私はOkinaの用紙は読書メモなど、ある程度整理された情報を書きとめ、一時的に保存する目的のものに使っています。
メモ書きする道具は手始めにそろえるのであれば、ダイソーなど100均ショップにいけば、たいていの文具は安くそろえることができます。
ある程度やってみて、やりかたそのものが性に合う、実際に効果が感じられるのであれば、自分の気に入った文具をそろえてみるのも、モチベーションアップにつながるのでオススメです。
道具は毎日使うものなので、最後は自分のお気に入りでそろえたいですね。
まとめ:メモのある生活をはじめよう
これまでもメモ書きは習慣づいていたのですが、特に決まったやり方を確立していたわけではありませんでした。
ある時はA5の覚書ノートへ、ある時はスマホのメモ帳へ、ある時はGoogle DocやEvernote、Dynalistなどのクラウドサービスに記録と、書き留めていたアイデアや情報が散在して、結果的に考えも散漫になりがちでした。
「0秒思考」への道程はまだ半ばですが、思いついた瞬間に考えや感情をメモに書き出すアナログ的な習慣は、非常に心地よく、頭がスッキリすることを実感しています。
メモに書き出すことで、頭や心にたまった気がかりなことがクリアーになり、次に何をすべきか考えやすくなりました。
そして、思いついたことを順番を考えずに書くことを繰り返しているうちに、日頃から考える習慣がより定着してきていると感じています。
早速、今回そろえたメモ用のクリップボードを滞在時間の長いリビングルームにおいて、いつでもメモ書きできる環境にしています。
いつも手元近くにメモをかける道具があるので、思いついたときにさっとメモ書きできるのはとても快適です。
これまでなら、メモ帳を探すことで一時的に思考が遮断されてしまっていたところ、スムーズに書き留められることがここまでストレスフリーだとは思いませんでした。
早速、会社でもこのメモ書き用のクリップボードを取り入れて、常に持ち歩くことにしようと思います。
尚、オンラインスクールのSchooでも赤羽さんの講義を受講することができます。
より深くメモ書きの方法を学びたい方はあわせてどうぞ。
サイト 「ゼロ秒思考」のメモ書き実践によるビジネススキルアップ(Schoo)