わが家にある古い包丁の1組は、長年の経年劣化で木製の柄には大きなヒビがはいり、このまま使用するのも危ないので長い間放置状態でした。
この包丁は数十年前に母より受け継いだものだったこともあって愛着もあります。
それだけになかなか捨てがたいものでした。
なんとか再生できないかと思案していたところ、発売元メーカー側で柄を取り換えるサービスがあることを知り、多少コストがかかっても修理できるのであればということで、早速ダメもとで申し込んでみることにしました。
古い包丁の再生の記録(現状)
修理前の包丁の状態
今回修理依頼をする包丁は、双子のマークで知られているZWILLING J.A. HENCKELS(ツヴィリング・ヘンケルス)の三徳包丁とペティナイフのセットです。
1731年創業のドイツにある老舗キッチンツールブランドだけあって、とても使いやすい包丁です。
こちらが修理前の包丁の状態です。
ご覧の通り、数十年以上使いこんでいることもあって、三徳包丁・ペティナイフとも木製の柄がひび割れています。
現状でもぐらつきはなく使うことはできますが、特にペティナイフは割れがひどくて、なにかの拍子で柄が割れてブレードが取れてしまうかもしれない状態です。
一方、ブレードも何度も研磨していることもあって、型番が薄れて判読できない状態です。
さすがに数十年以上前のモデルなので、公式ページで調べても掲載されておらず、型番も不明でしたが、まずは下記問い合わせフォームより、修理可能か相談してみることにしました。
念のため状態をお知らせするために、包丁画像を添付して確認します。
問合せ先 ツヴィリング・ヘンケルス問合せ
※最終的な修理依頼先は同社の「シャープニングセンター」になります。
包丁の修理の可否を事前に問合せ
メールを送って半日もしないうちに返信あり。
お問い合わせいただきました、包丁のハンドル修理は可能ですが、中子と呼ばれるハンドル内の金属部分が腐食(サビ)している場合、修理を承れないことがございます。
また、当時の素材と全く同じ素材(木製)で修理を承ることは出来ないため、「積層合板」と呼ばれる素材による修理となります。
柄は交換可能、ただし素材は当時のものはないため、別のパーツ(積層合版)を使っての修理交換となります。
詳しく伺ったところ、積層合版とは木材を積み重ねて、接着剤ではりあわせた素材で、色は黒色とのこと。
交換にあたっては、実際には柄の状態をみてみないことにはわからないということだったので、ひとまず「柄の交換」をお願いする前提で送ってみることにしました。
せっかくなので、「ブレードの研ぎ直し」も合わせて依頼。
仮にハンドル内の金属の腐食が進行している場合、包丁の使用に耐え得る強度が不足する可能性があるため、修理できないそうです。
その場合は、事前に連絡をしていただけるようで安心ですね。
包丁2点を新聞紙に丁寧に包んだ上で梱包。
コールセンターとのやり取りした経緯と、返送先の住所・連絡先を記載したものを同梱して送付します。
送付先 「シャープニングセンター」
今回のオーダー内容
今回の依頼内容と料金はこちら。
詳しい包丁研ぎや修理料金は公式ページをご参照ください。
① 2本のハンドル交換代: 9,020円(税込)(1本4,510円)
② 2本の研ぎ直し代: 2,200円(税込)(1本1,100円)
+送料:550円(税込)
+代引手数料:330円(税込)
合計:12,100円(税込)
代金は修理後に着払いで送られてくるので、受け取り時に宅配業者へ現金での支払いとなります。
※仮に修理不能だと判断された場合、連絡がくるとのこと。その場合はこちらの負担は先方への送料のみと良心的です。
古い包丁の再生の記録(再生後)
修理後の包丁の状態
発送が4月7日、修理されて戻ってきたのが4月23日。
問合せ時に目安として約30日ほどかかるとのことでしたが、結局2週間少しでもどってきました。
思っていたよりも早い。
丁寧なお手紙とともにしっかりと梱包されて戻ってまいりました。
熟練したテクニカルマネージャーが、丹精込めて磨き上げました本刃付けの切れ味、新しく装着いたしましたハンドルの使い心地はいかがでしょうか?
素晴らしい切れ味とハンドルのにぎりやすさを実感していただけると、大変嬉しく思います。
さて、肝心の仕上がりは ・・・
ご覧の通り、新品の包丁かと見間違えるほどとてもきれいな仕上がりで大満足。
まるで別物です。
テクニカルマネージャー、ありがとう!
柄(ハンドル)は元の天然木っぽいハンドルから、積層木材(パッカーウッド)に変わっています。
天然木よりは水に強く、耐水性がある素材です。
見た目もマットなブラック系の木材でなかなか格好がよく、スタイリッシュな包丁によみがえりました。
そして、ハンドルの使い勝手。
つかんだ感じも悪くないグリップ感、しっくり手になじみます。
さすが使い心地を志向するメーカーならではのフイット感です。
一方、研ぎ直しをお願いした刃(ブレード)の部分もしっかりと磨かれており、切れ味も抜群。
かたいキャベツの芯や人参もサクサクと切れるようになりました。
結果的に1万円を少しこえる程度の金額で、愛着のある大切な包丁を新品同様に再生できたことは、コスパ以上に仕上がりの満足感と納得感がありました。
もし、あなたの自宅で眠っている包丁があるのであれば、一度メーカーに問合せてみることをオススメします。
仕上がり具合、値段も含めて大満足な結果でした。