人生100年時代では、「起業」は再雇用とともに将来的な収入源となる有効な手段のひとつです。
一見難しそうな「起業」に対して、そっと手で押してくれる、わかりやすい指南書です。
将来をみすえて最初の1歩としてこれから検討を始めたいという方にオススメ。
ベストセラーとなったリンダ・グラットン著の『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 』を読んで、今後自分自身がどのように生きていくのか、変化していく環境にどのように対応していくべきか、自分のことながら深く考えるようになりました。
「人生100年時代」では、これまでの教育→就職→定年(60)歳というライフサイクルが、寿命が伸びることにより生活設計も大きく変わり、単線型のライフルサイクルから複線型に自ら意識的に変化する必要があります。
「健康・お金・孤独」が老後の3つの不安と言われていますが、公的年金はあるものの、これだけ寿命が伸びていく時代では「お金」の不安はつきものです。
新しく学んでスキルを身に着けること(リカレント教育)や、それを活かすことで長く働き続けることができれば、長寿化の不安はある程度解消できるのではないでしょうか。
また、企業側も働き方改革のもと、「在宅勤務」、「再雇用」や「副業解禁」の動きも活発になってきています。
環境がかわりつつある今、将来の働き方を含めて自分自身の定年後の生活設計を検討する準備は早くやっておいたほうが良いのは言うまでもありません。
「朝晩30分 好きなことで起業する」は、将来のライフプランニングを考えるにあたって、1つの選択肢である定年後の「起業」についてのヒントがつまっています。
著者の新井一(あらいはじめ)さんは、これまでのべ1万人をこえる起業家をプロデュースした「起業のプロ」です。
「朝晩30分好きなことで起業する」では、これまでサポートしてきた経験から得た「好きなこと」の探し方とそれを仕事にする場合の考え方を学べます。
「朝晩30分好きなことで起業する」の5つのポイント
「好きなこと」×「強み」×「求められていること」
「起業」には、「好きなこと」×「強み」×「求められていること」が重なる中心に該当することがみつけることができればベストです。
この図でいうところの3つの重なりの中心です。
しかし、実際にはこの中心をみつけることは難しく、まずは「好きなこと」×「求められていること」 が重なるゾーン、「起業可能なゾーン」を見極めることが大切です。
「好きなこと」の見つけ方
そして起業を考えるにあたって、まず何よりも自分自身の「好きなこと」から始めることが大切です。
なぜならば、”好きなことから始める起業は、すべての人が実行可能なものだから”。
そして、好きだからこそ、マニアックになれる、マニアックだからこそスペシャリストにもなれるわけで、好きなことは努力しなくてもできることだからです。
「好きなこと」をみつけるためのひとつの方法論として、現在の自分と過去の自分を比較することで、今できるようになったことを探すことが近道になると紹介されています。
今と過去とのギャップ、それが身につけた自分ならではの「ノウハウ」であり、起業のタネとなり、ビジネスになりうるということ。
つまり、自分の半径1m以内の身近な材料がスモールビジネスをはじめるきっかけになりうるということです。
起業には、
1.スペース・チャンス系(ハコや機会の提供)
2.プロダクト系(モノの提供)
3.スキル・サービス系(技術の提供)
4.ノウハウ系(知識の提供)
等が考えられますが、著者自身がまさに「ノウハウ系」で起業を実践しているわけで、4の「ノウハウ系」が最もリスクが少ないのでオススメとのこと。
またサラリーマンであれば、現在の仕事をしながらでも副業ができることかどうか?
現在の仕事をしながらであれば、安定した収入もあり(お金の安心感)、万が一失敗しても精神的なダメージが少ないからです。
サラリーマンであれば、朝晩30分をつかって、「好きなこと」をみつければよいのです。
これなら、なんとなく自分でもできそうな気になりませんか?
「自己満足ゾーン」に注意する
但し、注意点が1つ。
自分が楽しくてうれしい、「好きなこと」が必ずしもビジネスになるというわけではなく、もう1つの重要な視点、他人からの需要「求められていること」も欠けてはいけないものであることは言うまでもありません。
独りよがりなものにならないためにも、アイデアをまとめたら、臆せずいろいろな人にオープンにアイデアをぶつけてみて、世の中的に求められているものかどうか等、より良いアイデアにするためにブラッシュアップするプロセスも大切です。
自分が「好きなこと」×他人から「求められること」、これが起業のスタートポイントです。
「好きなこと」を「強み」にする
「好きなこと」をさらに「強み」にするためには、同じジャンルの本を60冊読むこと。
そして、過去を振りかえる中で気づいた自分の才能=「好きなこと」に後天的にみつけたスキルをかけあわせることで、さらにおおきなパワーとなり、「強み」となります。
他人との違いが少しでもあれば、それを拡張することで他人が参入できないポジションを自らつくり、小さな世界で一番になることが大切です。
「スモールスタート」ではじめること
そして、「好きなこと」がみつかったら、最初から100点を目指すのではなく20点でもよいので、スモールスタートではじめることです。
一番簡単で初期投資がかからないものを選べば、失敗しても撤退しやすいからです。
もしうまくいかなければ、次のアイデアへ進むだけです。
「朝晩30分 好きなことで起業する」のまとめ
起業をしたいけれど、どうしたらいいのかわからない方や起業に少し関心のある方にとっては、本書はまず最初のとっかかりとしてヒントがつまっているので少なからず参考になるでしょう。
・「好きなこと」×「求められていること」で起業すること
・「好きなこと」を「強み」にすること
・「スモールスタート」でいつでも撤退できること
そして、最終的には「好きなこと」×「強み」×「求められていること」の3つのゾーンの重なりにシフトできれば良いのではないでしょうか。
小さな世界でもよいのでそこで圧倒的な一番になることを目指す。
「朝晩30分好きなことで起業する」には、起業につながる最初の「好きなこと」をみつけるための、具体的な過去の棚卸方法が紹介されています。
いきなり「起業」について考える前に、まず最初のきっかけとして、過去を顧みることで自分の「好きなこと」をみつけることからはじめてみてはいかがでしょうか?
その中から意外な起業のヒントがみつかるかもしれませんよ。