久しぶりにベランダにて多層循環式の水耕栽培器イエナを使って、「ブラックズッキーニ」の水耕栽培をはじめました。
ズッキーニは今ではすっかりメジャーな食材としておなじみですが、油を吸収する特徴があり、油との相性がよいことから、火を通す調理法がむいています。
生食もできるものの味も香りもありません。
ということもあり、炒め物やてんぷら(ふわっとした食感)、ラタトゥーユなど煮物(とろっとした食感)などがおすすめ。
また果実になる前の花が咲いているときに収穫する花ズッキーニで蒸し物を楽しむのもありです。
室内での水耕栽培は基本的にLED水耕栽培器のグリーンファームを使って葉物野菜を中心に育てていますが、今回のズッキーニのように背丈の大きくなる野菜はベランダで育てることになります。
私が愛用している「イエナ(SANEI)」はすでに製造中止になっていますが、2020年より液肥で有名なホームハイポニカが後継となるモデルを「マスコ(MASUCO)」としてリニュアールされているので、気になるかたはそちらを購入されるとよいでしょう。
※マスコはカラーがホワイト1色、空気混入器が追加されているだけでほぼ同じ。
もしベランダで手軽に水耕栽培を始めたい方は、こちらの「マスコ」がおすすめです。
「ブラックズッキーニ」の特長
夏野菜としてメジャーになった「ズッキーニ」はキュウリ(ウリ科キュウリ属)の仲間と思いきや、カボチャの仲間(ウリ科カボチャ属)です。
今回育てる「ブラックズッキーニ」はその名の通り、一般的な緑のズッキーニと違って、光沢のある黒緑色の円筒形状。
主な特長は3つあります。
- つるが伸びないので狭い場所でも育てることができる
- うどんこ病に強く強健である
- 短期間で多収が期待できる
比較的育てやすい野菜なので、家庭菜園にもぴったりです。
病気に強く、省スペースで育成可能
ブラックズッキーニは最低気温10度以上であれば、全国どこでも栽培可能。
またうどん粉病にも強く強健で、つるが伸びないため整枝の必要がなく、ベランダなど狭い場所でも育てることができるので、家庭菜園にむいた品種です。
茎折れ防止の風対策は必要
ブラックズッキーニの茎は大きく横に広がりつつ上に成長するため、支柱や防風ネット等、風による茎折れ防止対策は必要です。
基本的につるがないため枝を調える必要もないのですが、茎は太いものの中が空洞になっているため風でぽっきり茎が折れやすく、茎を支える支柱をたてることをおすすめします。
又できるだけ病気の発生を抑えるために、古い葉や病葉はまめに除去して風通しをよくしたり、採光性をよくすることも大切です。
収穫目安は4日~6日、多収が期待
ブラックズッキーニの収穫目安は開花後約4日~6日、長さ15~20センチ程度(幼果)になったら収穫することで、多収が可能な野菜です。
収穫が遅れて大きくなりすぎると味が落ちるだけではなく、株に負担がかかるので注意すること。
「ブラックズッキーニ」水耕栽培の記録
種の植え付け(21年3月27日)
サカタのタネの「ダークヤングマン ブラックズッキーニ」を選びました。
病気に強い×つるが伸びないので、自宅のベランダなど省スペースでも育てることができる種とのこと。
ブラックズッキーニのタネはこのようにカボチャの仲間だけあって、青色で薬剤がコーディングされた大粒の種。
実がなるズッキーニなので、水耕栽培器の付属の「果菜プレート(1株穴)」に栽培鉢と果菜用培地スポンジをセットして育てます。
今回は念のため3粒ほど培地スポンジにセットしました。
もちろんポット苗を買ってきてセットすることも可能ですが、その場合は菌が土についている可能性もあるので、根元を傷めないようにきれいな水でやさしく、土をきれいに洗い流しましょう。
室内の水耕栽培器はLED照明で十分な日照量をカバーできますが、室外用の水耕栽培器では日照が大きく成長に左右します。
そのため、ベランダでも風通しがよく、且つ日照条件がよい場所(朝6時ぐらいから日が当たる場所)に設置することが大切です。
発芽(21年4月3日)
3粒とも発芽。仕事が忙しくてうっかり発芽のタイミングに気づくのが遅れました(汗)。
発芽した3本の中から元気そうなもの1本を選び、それ以外を間引きます。
毎度のことながら、この瞬間は心痛みます。
子葉の間から元気な本葉(21年4月7日)
子葉の間から本葉がでてきました。
本葉も大きく成長(21年4月18日)
本葉がでてから、グンと成長が加速します。
防虫ネットを設置(21年4月26日)
春の陽気もあってか、日増しにグングン成長。
茎はしっかりと太く、葉からも特有の香りがします。
病気に強い品種ですが葉が大きくなってきたこともあり、万が一に備えて以前自作した防虫ネットと支柱を水耕栽培器にセットしました。
ズッキーニの株は横に広がりながら成長していくため、本当は茎の中心近くに支柱を設置できればベストですが、防虫ネットを支えることを兼ねて、水耕栽培器の4隅に4本差し込んでいます。
雌花・雄花がつき始める(21年5月6日)
意外とズッキーニの成長は早いです。
小さな雌花と雄花がつきはじめたことを確認しました。
どんどん雌花・雄花のつぼみが出てきている状態です。
育ち始めはやや雌花が多い印象。
※21年5月13日:摘花タイミング
最初の雌花が開花しそうです。
雌花と雄花が同時に咲けば授粉できるのですが、雄花がなかなか咲かず、そうもいかないようで最初についた雌花を「摘花」します。
また株がまだ小さいうちには実をつけると負担になるので、このタイミングで「摘花」することで、株への負担をさげて成長を促進することができます。
雌花開花(21年5月14日)・摘果する
大きな黄色の花が咲きました。
本来花が咲く前がよいようですが(摘花)、今回気づいたときには花が咲いてしまっていたので、実が大きくならないうちに最初の雌花を「摘果」しました。
着果できなかったものはそのまま放置するよりも、病気の原因にもなりかねないので取り除きます。
最初の1本、素揚げで食べようかな・・・
記念すべき一番花は花びらの中にクリームチーズをはさんで素揚げしていただきました。
「花ズッキーニ」は美味!ズッキーニの食感と風味を感じられました。
雄花・雌花開花(21年5月17日)
ついに雄花も開花しそうです(右奥)。
これでようやく人工授粉に備えることができます。
雄花は摘花して冷蔵庫に保存し、雌花が開いたら授粉させることもできます。
雄花開花するも・・・(21年5月18日)
雄花が2つほど立て続けに開花するも雌花が開花せず、人工授粉のタイミングがあいません。
ズッキーニは株が少ないこともありますが、一般的に雌花のほうが先に咲いてしまい、授粉タイミングがあわないことはよくあるようで、ひとまず開花した雄花はすぐに摘み取り、雌花開花のタイミングで授粉できるように冷蔵庫にタッパーで保管しました。
一方で雌花が2つほどつぼみになっていて、明日にはいよいよ開花するかと思ったら・・・1つがしぼんでからからになってしまいました。
株への影響を考慮して摘み取りました。
もう1つの雌花も元気なく、いまにもしぼみそうな雰囲気。
どうも梅雨時は雌花はなかなか開花しづらいようでしばらく様子見です。
人工授粉(21年5月26日)
ようやく雌花が開花したので、同時に咲いた雄花を使って人工授粉を行いました。
雄花の花びらを取り除くと先端で授粉しやすくなります。
アブラムシ発生(21年5月27日)
雄花が2つほど咲いたので冷蔵保存しようと摘花すると、アブラムシが何匹かついているのを発見(泣)。
防虫ネットをはっていたのにどこからかはいりこんでしまったようです。
アブラムシは黄色に集まる習性があるようで、ズッキーニの花に群がっていました。
取り急ぎ、自宅の黒酢と水を混ぜ合わせたもの(100倍程度で希釈)をスプレーして様子をみることにしました。
黒酢と水の比率は1ℓつくる場合は10ml:990mlが目安です。
ただ、あくまでも虫よけしか期待できないため、殺虫効果で評判の高い「ベニカ」を購入して対策することにしました。
ズッキーニ成長中(21年5月29日)
26日に人工授粉したズッキーニも少しずつ成長中。
長さは約10㎝ほどと、収穫まであと少し。
他の雌花は相変わらず元気がなく、雄花は咲くものの授粉できない状況が続いています。
初収穫(21年6月1日)
人工授粉より6日目で初収穫。
一般的に授粉より4~6日ほど、15㎝~20㎝の大きさが収穫の目安になりますが、今回はこれ以上大きくなりそうもなかったのでいった収穫することにしました。
全長12㎝ほどの小ぶりなズッキーニです。
ウィンナーソーセージと一緒に軽くソテーして朝食にそえました。
小さいながらもずっしりとつまった感じのズッキーニは食感もよく、ソルティーなソーセージとマッチしておいしかったです。
雌花開花せず枯れてしまう現象(21年6月13日)
初収穫前から雌花が咲きそうになったと思ったら、先端から茶色になって枯れてしまう現象がありましたが、ここにきてずっとそのような状態が継続しています。
相変わらず、雄花は元気で開花するのですが雌花はいっこうに大きくなる前にしぼんでしまいます。
高温多湿のこの時期がズッキーニにとっては苦手だということも一因と思いますが、ひとまず液肥の濃度を抑えるようにしてみました。
開花から収穫まで(今後の更新予定)
4月30日現在のブラックズッキーニ。
ブラックズッキーニは種まき後、土耕の場合は約120日~130日(4ヶ月ほど)で収穫ができるとのこと。
水耕栽培では土耕に比べると成長スピードが早いため、どのぐらいの期間で収穫できるのかこれから楽しみです。
次なる課題は収穫の鍵となる「人工授粉」。
防虫ネットをはっていることもあり、雄花の花粉を雌花に人工授粉する必要があります。
今後の成長の記録(人工授粉~収穫)はこの記事でアップデートしていく予定です。
わが家で稼働中の「水耕栽培器」
私が使っている水耕栽培器は「イエナ」。
残念ながらディスコンとなってしまい、今はハイポニカからほぼ同じ仕様の水耕栽培器が発売されています。
ホワイトカラーが清潔感あふれるデザインで、どのインテリアにもマッチする素敵な家庭用水耕栽培器です。
ハイポニカが発売していることもあり、万が一故障した時の交換パーツも安心で、長きにわたって使える水耕栽培器としてもおすすめです。