今ではNHK朝の連続テレビ小説「とと姉ちゃん」の登場人物、唐沢寿明さん演じる花山伊佐次のモデルとして、すっかり時の人になってしまった、花森安治さん。
花森安治さんのイラストを知るきっかけになったのは、妻が時折買って自宅の本棚に大切にしまってあった「暮しの手帖」でした。
心がほんわかするような、ほっとするようななんとも言えないあったかみのある、可愛らしい色彩感覚にあふれた魅力的な手書きのイラストは花森安治さんが初代編集長を務めていた「暮しの手帖」の顔ともいえます。
今から少し前、2012年の夏の話になりますが、花森安治さんの生誕100年を記念した展示会が世田谷美術館で開催されていて、ふと思い立って訪れたことがあります。
その当時は、それほどこのブログに日々の記録を残すようなことはしていなかったので、今になって改めて記すことにしました。
「暮しの手帖」創始者 花森安治の世界
私が花森安治さんの作品を間近にみることができたのが、2012年6月から開催されていた、下記企画展示でした。
世田谷美術館 「花森安治表紙原画展」
花森安治と『暮しの手帖』ミュージアム コレクション2012-II
2012年6月30日~9月2日 2階展示室
「暮しの手帖」編集長にして、ジャーナリスト、装釘家、デザイナーといった多彩な顔を持つ花森安治(1911-1978)。
本展は『暮しの手帖』表紙原画を中心に、雑誌宣伝のために制作した「新聞広告」や「中吊り広告」などを加え、花森の個性的なデザインの仕事をご紹介します。
後で知ったことなのですが、実は花森安治さんが手掛けた「暮しの手帖」の表紙絵の原画やスケッチは、その死後、遺族から世田谷美術館に寄贈されています。
なるほど納得。あれほど膨大な数の原画をそろえることができるはずです。
彼が編集長を務めていた30年間に描いた表紙絵(創刊~第2世紀53号:1948年~1978年)は実に153枚。
下地は紙、モノクロ写真、板、キャンバス等を使い、画材には水彩からポスターカラー、鉛筆、色鉛筆、インク、クレヨン、アクリル、木炭等、毎号様々な工夫が施されていたようです。
この2012年の企画展示では表紙原画全 103点の一挙公開、その他雑誌宣伝のために制作した「新聞広告」や「中吊り広告」などが展示されていました。
展示会場を後にしたわたしはすっかり花森安治ワールドに圧倒され、すっかり心を奪われていました。
世田谷美術館 恒例の憩いスポット 「Setabi Cafe」(旧名:カフェ・ボーシャン)
美術館での鑑賞後のお楽しみは美術館に併設されているカフェでのひととき。
世田谷美術館は東急田園都市線の用賀駅から歩いて約15分ほど、環八通り沿いにある、緑豊かな砧公園に併設されています。
これまでも何度かこブログでもご紹介したお気に入りの美術館の1つですが、美術館の地下1Fにテラス席が特徴のカフェがあります。
ちょうど花森安治さんの原画展が開催される2012年の春に美術館がリオープンするのにあわせて「カフェ・ボーシャン」がオープンしました。
世田谷美術館にはアンリ・ルソーを代表とする素朴派と呼ばれる画家の作品を多く収蔵しており、その中でもフランスの画家であるアンドレ・ボーシャンにちなんで、店名をつけたそうです。
ただその後カフェの名称に無断でボーシャンとつけていたこともあり(これにはちょっと驚き・・・)、その年の秋には新しい店名に変更。
現在は世田谷美術館にちなんで、「Setabi Cafe(セタビカフェ)」として引き続き営業しています。
お店のコンセプトは「公園とつながり、人とつながる」。
天気の良い日には特におすすめの癒しの空間。
青空の下、フランス・ブルターニュ地方の伝統料理であるガレットを中心にヘルシーなメニューを楽しむことができます。
名物のガレットはぜひ食べていただきたい。
最後に・・・花森安治さんの作品をみたい!と思ったあなたに朗報です。
花森安治の仕事展 来春開催決定!
私が訪れた世田谷美術館で、再び花森安治さんの企画展示が予定されているようです。
「花森安治の仕事展 デザインする手、編集長の眼」と題する展覧会が来春開催されます。
期間は2017年2月11日(土)から4月9日(日)まで。
世田谷美術館の公式情報はこちら。
ぜひあなたの眼で、華麗でかわいい作品の数々を直にみて堪能してください。
でもでも・・・来年なんて待ちきれない!今すぐみたい!とうあなた。
現在、NHKで放映中の朝の連続ドラマ、「とと姉ちゃん」は9月で終わってしまうので来年の2月まで待ち遠しいですが、まずはこちらのデザイン集で予習してはいかがでしょうか?
【花森安治のデザイン】
花森安治さんが手がけた暮しの手帖の表紙原画全点、美しいカットや印象的な手書き文字、新聞広告版下など、約300点を収録した唯一の原画集です。
こちらのエッセイ本もオススメです。
1年と通して季節の色いろな素敵な話が書かれている、大変読みごたえのあるエッセイ集。
昭和50年発行で、今もなお多くの人に読み継がれています。
装丁はもちろん、花森安治さんです。
さらに、「暮しの手帖」の表紙がテレビ初公開!
今日時点ではすでに放映終了(7月17日(日)午前9時NHK Eテレ「日曜美術館」)ですが、24日(日曜日)の夜8時~8時45分に再放送されますのお見逃しなく。
日曜美術館 「“暮し”にかけた情熱 花森安治30年間の表紙画」
番組では、花森安治さんの描いた『暮しの手帖』30年間の表紙画のかずかずが、初めてテレビで紹介されます。
来年の世田谷美術館での展覧にさきがけての放映で、お住まいが遠くて来館のむつかしいかたには好機です。
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◆花森安治(はなもり やすじ)について
1911年神戸市生まれ。
旧制松江高校、東京帝国大学卒業。
召集され、2年従軍するも、戦地で結核になり帰国。療養生活の後除隊。大政翼賛会宣伝部につとめる。
終戦後、1946年大橋鎭子らと衣装研究所を設立。『スタイルブック』を創刊。
1948年9月に『美しい暮しの手帖』を創刊社名を暮しの手帖社とした。
以後『暮しの手帖』を中心に、編集者、ジャーナリスト、イラストレーター、デザイナーとして活躍。
1978年心筋梗塞のため死去 享年66歳。
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