これまでメモの取り方について、深く考えることもなく、単なる記録するためのものだとわりきっていました。
仮想ライブ空間・動画配信プラットフォーム事業、SHOWROOMを立ち上げた、前田裕二さんの「メモの魔力」は、これまでの私のメモに対する概念を大きく変えるものとなりました。
すべてのアイデアのヒントは日常生活の中でみつけることができる。
右脳的なメモをとり、気づきを言語化することで、人生において応用可能なアクションへと転用することができる。
「メモ」は単にアイデアを創出するだけではなく、自分の夢をかなえるための強力な武器ともなりえる。
事実のみ書きとめていた「記録するメモ」から脱却して、次への行動につながる「知的生産するメモ」が単なる気づきを越えて、自分自身の未来を切り開く、人生の武器だと気づかされた一冊。
「メモの魔力」はこんな人にむいています。
- 未来につながる生産的、且つ活力的なメモをとりたい方
- 日々接する情報からアイデアを効率的に生み出せるようになりたい方
- 相手に伝わりやすい言語化能力と話の構造化能力を高めたい方
- 相手からより深い話をききだすための傾聴能力を身につけたい方
- 今後自分が何をしたいのか?「人生の軸」を明確にしたい方
「メモ」の3段活用、事実・抽象化・転用を知る
メモを取る上での3つの思考フロー
単なる「記録するメモ」ではなく、「知的生産するメモ」とはいったい、どんなものなのか?
「メモの魔力」でで紹介されているメモの取る上での思考フローは、とてもシンプルです。
1枚絵で表すとこんな感じ。
- インプットした「事実(ファクト)」をもとに、
- 気づきを応用可能な範囲に「抽象化」して、
- 自らのアクションに「転用」する
この思考の3段階を習慣づけることで、単なる情報が自分自身の成長のヒントになったり、新しいことをはじめるためのアイデアになったりする。
抽象化に使える3つの型 What/How/Why
そして、この思考の3つのフローの中で、「抽象化」はその後のアクションにつなげるための大切なブリッジ役です。
知覚した情報を知的生産につなげるためには、次の3つの型を使うとうまく抽象化できます。
- 現象を言語化する「What型」
- 特徴を抽出する「How型」
- 抽象化して物事の本質を知る「Why型」
その中でも、いちばん重要なのは「問いかけ」のWhy型。
なぜそう感じたのか?
なぜうまくいったのか?
なぜそうなったのか?
等、常に自分に「なぜなのか?」と問いかけて考える。
問いかけにより、具体と抽象を往復することで、具体をシンプルな言葉にまとめることができる(抽象化)ようになる。
「事実→抽象化→転用」は、能動的なメモの取り方を繰り返すことで身につけることができるものなので、ただひたすら実践あるのみですね。
知的創造を促す効果的なメモの取り方
「事実→抽象化→転用」、この3つの思考プロセスを視覚的にもわかりやすくしたのが、前田さん流メモの取り方です。
まず、ノートは見開きで使うこと。
ついつい片ページから埋めていきがちですが、見開き全体で1ページの脳のキャンバスと考える。
見開きで使うことで、思考が左側から右側に流れ、自然とクリエイティビティを発揮する「右脳」思考へシフトすることができるのです。
実際にこのフォーマット通り、書いてみると、確かに頭が整理されてくるのがわかります。
また右側の抽象化→転用に至っては、思考のトレーニングをやっているようで、これまで以上にインプットした情報を自分ごととして昇華させるための良い思考フローになっていると実感。
左脳と右脳の構造にあったノートの使い方は理にかなっています。
ペンの使い方で視覚的に自分の考えを整理する
またメモを書くときは、「4色ボールペン」を使うことで思考を視覚的に整理することができます。
主観的な発想は「緑」、事実は「黒」を使い、やや重要だったり引用・参照したりしたところは「青」、最重要なところは「赤」を使う。
主観と客観、重要度の尺度で色分けすることで、後でふりかえっても一目瞭然。
緑で自分の考えを書き留めることで、発信力をあげたり、赤や青でマーキングしたことで判断材料となる知見となり、意思決定力をあげることにつながります。
ちなみに私の場合は、リングを気にせずページの端まで書くことのできる、コクヨのソフトリングノートに、書き心地がなめらかな三菱のジェットストリーム4色ボールペンを愛用しています。
自分のお気に入りの文具を使うことはモチベーションアップにもなるため、メモを習慣づけるには欠かせない要素です。
「メモ」は自己分析にも活用できる
メモはアイデア創出だけではなく、メモの対象を自分自身にすることで、「自分とはなにか?」を知ることができます。
つまり、「メモ」は自己分析にも使えるということです。
当初、アイデア創出のためのメモの取り方を知りたかっただけの私にとっては、想定外だったところ。
思わぬメモの効能です。
日常的に「解くべき課題」を持っているかどうか?について、持っているかどうかは人生をアクティブに生きるかどうかと密接にかかわっていて、そもそも「転用」するための課題をもっていないと、「メモ」でいくら抽象化からの転用をしたところで意味がないのです。
日常的に問題意識を持つことで、それをクリアーしながら自己成長につなげていくことは、これまでの自己啓発系の書籍でも共通の考え方でしたので、しっくりと腑に落ちます。
自分自身を分析することで、自分が夢中になれるもの、熱中できるものが何なのか、今一度立ち止まって考えてみることも大切だと感じています。
就職や転職活動しかり、定年前後など人生の様々な局面で、「メモ」という道具を使うことで、自分自身の原点(人生の軸)を知り、それに向かって突き進むことで乗りこえることができるのです。
つまり、メモを使って自己分析することにより、「人生のコンパス」を得ることができると言えます。
「メモの魔力」から学ぶ、15の抜粋ポイント
メモをとると、あらゆる日常の出来事を片っ端からアイデアに転換できる。
対象を「自分自身」に向けることで「自分とは何か」も見える。
メモを使えば、自分を知り、確固たる「人生のコンパス」を手に入れることができる。
ノートは「見開き」で使い、左側に左脳的な「事実」、右側に右脳的な「発想」という具合で、脳の構造に沿ったレイアウトをとる。
「ファクト→抽象化→転用」という一連の流れ。これが、知的生産メモにおける最大のポイント。
① インプットした「ファクト」をもとに、 ② 気づきを応用可能な粒度に「抽象化」し、 ③ 自らのアクションに「転用」する。
メモの本質は「振り返り」にある。振り返ったときに、そこから抽出できる学びの要素が実は信じられないほどたくさんある。
「ファクト」を「抽象化」して、それをどういう風に自分に「転用」してアクションするのか? そこまで導き出して初めて、メモとしての意味が出てくる。
メモとは、単に情報を記録するものではなく、受け取った情報に何らかの意味合いを付与し、そこから知的生産していくために存在する。
知覚した情報を知的生産につなげるためのブリッジ役として、「抽象化」という手法がある。
抽象化には、現象を言語化する「What型」と、特徴を抽出する「How型」、抽象化して物事の本質を知る「Why型」と3つの型がある。知的創造においては、「How型」と「Why型」、特に最後の「Why型」が大きな価値を生み出すことが多い。
なぜなら、他の具体への転用可能性が高く、また、転用したときのインパクトが大きいから。
知的創造のベースとして、情報のインプットが重要。
抽象化はアウトプットのためではなく、インプットする際にも非常に強力な武器になる。
「解くべき課題」を明確に持っているか?
その人自身に切羽詰まった問題意識、すなわち転用すべき他の具体課題がないと、単なるゲームで終わってしまう。
「解くべき課題の明確化」は、抽象化の前段階においてビジネスパーソンがまず向き合わねばならない問題である。
言語化の第一歩は自分の心に「なぜ」を向けること。
「我見」と「離見」が抽象化を加速させる。
抽象化能力を引き上げるためには、「自分を一歩引いて客観視する癖」を身につけておかなければならない。
メモや抽象化の技法を学んだところで、結局、「自分が何をやりたいか」ということが明確でなければ、さして意味がない。
これからの時代は『アジェンダ』を持っている人が豊かになる。
夢中になれるもの、熱中できるものがある人はこれからの時代、とても強い。そのためにも自分を知り、自分の望みを理解しておくことが大切。「自己分析ノート」で自分が生まれてから現在に至るまでに感じたり経験したりしたさまざまな要素を振り返り、深く考える時間を持つ。
徹底的に自己分析をすると、次第に自分が持っている「人生の軸」が明確になる。
人生を振り返っても、やりたいことが見つからないんだ、という人は、過去に目を向けるのではなく、逆に、一つでも多くの新しい経験を通じて、新たな選択肢に触れることが重要。
強く途切れない熱量で「自分を知る」「自分の意識を言語化する」というテーマと向き合い続けること。
シンプルにまず一つでも多くの「自分を知るための問い」に答えることが大切。
「抽象化」なくして自己分析は存在しない。
自己分析においても欠かさず「具体化」と「抽象化」をセットで行うことが鍵になる。
効果的な自己分析のフォーマットは「意識の具体化×抽象化」。
①自分の意識に目を向ける(具体化)② Whyで深掘りする(抽象化)。
「言語化」で夢は現実になる。
自己分析フレーム「ライフチャート」を使って、自分の人生を縦軸で見るのではなく、横軸で見る。なるべく「幅」で捉える。
そこから自分の価値観や何を幸福と思うかが見えてくる。
自己分析においては、「垂直方向のエピソードや価値観の深掘り」に「水平方向の全体感把握」を掛け合わせて、縦と横で立体的に自分を見ていくことが有効な手段。
メモの本質は「ノウハウ」ではなく「姿勢」である。
勝負は、書くか書かないか。もはやこれは、テクニックの問題ではなく、自分の人生とどれだけ真剣に向き合うかという、「生き方」の問題。
まとめ:右脳の「知的生産メモ」で夢をかなえよう!
もちろん単に備忘録として記録するメモもありますので、すべてのメモがすべて知的生産のためのメモである必要はありません。
ただこれからは、これまで読んだり、見たり、聞いたり、感じたりしたことをそのまま漫然と受け流すのではなく、抽象化して転用することで、自分の未来のためのヒントとして「知的生産メモ」を活かそう!というのが趣旨です。
「メモの魔力」を読了した今、次の3つを実践していこうと思います。
- 見開きフォーマットを真似て、とにかくメモをとる。
- メモをとるときは抽象化からの具体化を意識する。
- ライフチャートを作成し、自分の意識を言語化することで、自分を知る。
早速、自己分析のためのライフチャートを作成してみました。
実際に過去にさかのぼって書き始めているうちに、どんどん懐かしい想いがわきあがり、自分の根底に流れる考えや譲れないもの(人生の軸)がみえてきたように思います。
忘れかけていた、あの想い。
自己啓発のワークショップなどにいかない限り、なかなか自己分析による可視化なんてする機会はないので、とても貴重な機会でした。
メモを書くことで、人生のヒントを得るだけではなく、自己分析までできてしまう。
自分の根底に流れる想いを認識することで、迷わずぶれずに進んでいけそうな前向きな気持ちになる。
そんな「メモの魔力」を体験してみませんか?