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【読書メモ】いらない保険 生命保険会社が知られたくない「本当の話」

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いらない保険

「人生100年時代」と言われるようになり、老後資金2,000万円問題や年金問題をはじめ、ますます老後の不安が増すような報道が多くなりました。

特に高齢化によるリスクも増加するため、先々負担となりそうながんや入院、介護費用を生命保険で備えたくなる気持ちもわからないことはありません。

とはいえ、その保険は本当に必要でしょうか?

当たりまえのことですが、生命保険はあくまでも契約時点の契約であり、書いている以上のことはカバーしません。
また将来の医療の進歩や社会保障の変化などは反映しないため、いずれ陳腐化してしまう可能性が高いということです。

今年はちょうど老後2,000万円問題が話題になったこともあり、わが家でも将来にむけてのライフプランを見直す中で、生命保険でカバーすべき保障の範囲やあり方改めて考えることにしました。

今回ご紹介する「いらない保険 生命保険会社が知られたくない本当の話」では、生命保険会社に勤務していた筆者が、私たち側の視点での保険の考え方の基本から、今ある保険の中で検討に値するもの、いらないものを本音で解説しています。

最強の保険は誰もが加入している「健康保険」+「高額療養費制度」

生命保険よりも手厚い保障があることをご存知でしょうか?

それは誰もが加入している「健康保険」です。

そして、健康保険(医療費の自己負担が小学生以上であれば3割、70~74歳であれば2割、75歳以上であれば1割を負担)に加えて、第2のセーフティーネットでもある「高額療養費制度」があることで最強の保険たる所以なのです。

極論から言うと、医療費については民間の保険(終身医療保険)でカバーすべきではなく、まずベースは大きな保障を得られる「健康保険」であることを再認識することから始めます。

詳細は本に譲るとして、ざっくりいうと一般的には入院期間が短くて高くても総額で100万円程度、長期間でも300万円程度しか医療費はかからず、大病でも自己負担額は65万円以下といった統計があります。

つまり、民間医療保険に加入せずとも病院への支払いに窮しないように、手元に50万円~100万円程度現金があればよいということになります。

最近では医療保険にある入院給付金も入院期間が短くなる傾向もあって、入院給付金がもらえなくなる可能性もあります。
また手術給付金も同様に医療技術の進歩(例えば内視鏡手術・腹・胸腔鏡などによる手術は重大手術に該当しないケースになる)により、有名無実化。

このように終身医療保険は医療制度や医療技術の進歩に追いつけず、陳腐化してしまう可能性が高いのです。

検討に値する保険は「収入保障保険」と「定期保険」

それでは「保険」はどのように考えればよいのでしょうか?

著者はそもそも加入の検討に値する保険は限られており、保険加入および継続を検討するにあたっては次の4つのキーワードで優先順位をはかることができるといいます。

  • 緊急性:今日明日にでも不測の事態が起こる
  • 重大性:自分で用意できない額のお金が必要になる
  • 経済合理性:安い保険料で大きな保障が持てる
  • 不確実性:契約内容が時代の変化に合わなくなる

この4つのキーワードと保障したい項目をマトリックスにした表がこちら。

マトリックス

結論からいうと、この表からもわかるように重要だと思われる保険は、現役世代(特に世帯主)の死亡や長期の就業不能状態に備える保険です。

1,000万円単位の保障が必要になってきますが、発生する確率が低いので、安い保険料で大きな保障をもつことができます。
とはいえ、将来的な環境変動には弱いため不確実性だけは残ります。

介護やがん保険は?

一方、介護やがん保険についてはどう考えるのでしょうか?

一般的に老後に発生する確率が高く、資金準備の時間もそれなりにあるので緊急性は×。
重要性は整体主の死亡よりは小さく、短期入院よりは高額になるので△。
経済合理性は保険料が高くなるので△になっています。

がん保険に関しては「先進医療特約」が気になるところですが、”ほとんど無意味”とばっさり。

それもそのはず、本当に効くのであれば健康保険に移すはずです。
ちなみに、2019年2月現在、93種類の治療法・検査法が指定されていますが、その内、先進医療といえば粒子線治療(重粒子線・陽子線)、多焦点眼内レンズ(白内障)、前眼部3次元画像解析(検査)の4つ(全先進医療患者の91%に相当)です。
つまり先進医療といえば、がんの粒子線治療(重粒子線・陽子線)含めて、ほぼこの4つが該当します。

先に述べた通り、医療保険は自己負担に上限があるため、基本は健康保険と高額療養費ベースで考えればよく、保険は不要。
がんも例外ではなく、50万円程度を自己負担としてみておけばよいとのこと。

それに加えて、会社員の場合であれば、加入している健康保険の「傷病手当金」で最長18か月(一定の条件を満たせば)にわたって標準報酬月額(手当含む)の2/3がもらえます。
さらには有給休暇(最長40日間、実質2か月)も活用すれば、最低20ケ月は安定収入があり、会社によっては「付加給付」のプラスアルファの給付金(月給の7~8割相当)があります。
※ただし、自営業者(フリーランス)の加入している国民健康保険には有給休暇はもちろんありませんし、傷病手当金の制度もないため、がん保険にははいる意味はあるかもしれません。

dalahast
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とはいえ毎月の保険料の支払いが多くて負担になるのでは本末転倒なので、日ごろから貯蓄で備えることは大切だということでしょう。

貯蓄保険は?

そして貯蓄保険についてはそもそも貯蓄率も悪く、時間がかかるので論外。
もっぱら将来に向けて備えるのであれば、貯蓄保険などではなく、確定拠出年金、つみたてNISA、個人向け国債(変動金利型10年満期)などを優先するべきでしょう。

検討に値する保険は?

つまるところ、保険は現役世代が緊急重大な事態への備えとして期間限定で利用するのが賢明で、その上で、検討すべきは「収入保障保険」と「定期保険」ということになります。

※本書では「相続税対策のための終身保険」も検討に値する保険としてあげられています。

保険加入を検討する前に「公的保障」と「企業保障」を知ることから始める

検討に値する保険として、「収入保障保険」と「定期保険」の2つですが、いきなり保険加入を検討するわけではありません。

本当に保険が必要などうかについては、まず「公的保障」>「企業保障」>「私的保障(自己資金))」の順番で考え、必要と考える保障額(生活水準により人それぞれ)に足りない場合には、貯蓄や民間の保険でカバーするというプロセスが大切です。

保障3段階の考え方

そのためにはご自身の受けられる保障を調べることがはじめましょう。
まず、全員共通の「公的保障」。
そして、サラリーマンの方であれば「企業保障」。

それらの保障を把握したら、あなたの生活水準にあった「必要と考える補償額」から差し引き、足りない場合はどのように対処するのか?
そこから考えてみると、保険の必要性がみえてきます。

例えば、収入保障保険を検討するのであれば、

  • 会社員は企業保障として「傷病手当金+付加給付(会社による)」があります。
  • 自営業、フリーランスの人は国民健康保険に傷病手当金がないので、収入保障保険で手当する必要性が高くなります。

定期保険を検討するのであれば、

  • 会社員は公的保障である「遺族年金」に加えて、企業保障で独自の「弔慰金規定」や「死亡退職金制度」等があります。
dalahast
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このように公的保障と企業保障でまかなえる保障を考慮した上で、自分で用意しなければいけない金額(私的保障)を計算することが正しいプロセスです。

その上で貯蓄でまかなうのか、もしくは保険なのかを考える。
まずはこのプロセスを踏むことで無駄ないらない保険に加入することを防ぐことができるのです。

そして、仮に収入保障保険や死亡に備える定期保険などに加入する際には、必要な期間だけ・必要な保障金額にしぼって加入するなど、それぞれの生活状況にあわせて検討することが大切だといえます。

まとめ:保険は自分ひとりでは背負いきれないリスクに備えるために利用するもの

  • 保険は自分ひとりが背負いきれないリスクに備えるために利用するもの。
  • 保険が必要かどうかは、まず「公的保障」>「企業保障」>「私的保障(貯蓄などの自己資金)」の順で考える。
  • 保障の手厚い「健康保険」と「高額療養費制度」で自己負担には上限があるので、医療保険は不要。
  • 病院への支払いに窮しないように、手元に現金で50~100万円備える。
  • 検討に値する保険は、「収入保障保険」と「定期保険」の2つ。
  • 相続税対策としての「終身保険」もあり。
  • 貯蓄運用目的の保険は不要。確定拠出年金やつみたてNISA、個人向け国債変動10年などを優先。

生命保険は緊急かつ重大な事態に限って(保障が欲しい期間限定で)利用したい手段であり、貯蓄・運用目的の保険はいっさい必要ありません。
すでに加入済みの場合は、保険額と期間を改めて見直し、入り直しも視野にいれるとよいでしょう。

また検討するにあたっては、自動車保険に加入するのと同様に「(保険で用意できる)金額の大きさ」を基準に判断すれば、私たちの保険料負担を最小限にすることができます。

今まさに生命保険の加入をすすめられて検討している方や、私のように生活設計全体の流れから生命保険の見直しをしたいけれども、どこから手をつけてよいのかわからない方には特におすすめの本です。

dalahast
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わが家では定期的にライフプランを見直す習慣がありますが、改めて保険の位置づけについても再認識することができました。

その保険、本当に必要ですか?

※ただ1点だけ補足すると、介護については専門外なのか具体的な「公的介護保険」の仕組みや「高額介護サービス費支給制度」、「高額利用・高額介護合算療養費制度」などについては特に記されていないので、別の本を読む必要があります。
介護の領域については、介護保険制度が2000年4月1日から施行されて、40歳以上の方は保険料を納めているので、誰もがサービスを受ける権利があります。

dalahast
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介護は突然直面する問題なので、来るべき時に慌てないように、事前にどのような保障があるのかを知っておくかどうかはとても大切だと感じています。

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