今やWi-Fi環境は、私たちの日常生活に欠かせないものとなっています。
しかし、多くの場合、建物の構造やレイアウトの関係で、広い居住スペースや複数階にわたる戸建てでは、Wi-Fiルーターの電波が届かず、ストレスを感じることも少なくありません。
そんなときに頼りになるのが、「Wi-Fi中継器」です。
今回は、TP-Linkからリリースされた高性能なWi-Fi中継器「RE900XD」をご紹介します。
この製品は、従来の中継器を超えるAX6000の高速通信が可能で、単に親機の電波が届きにくいエリアへWi-Fiの範囲を拡張するだけではなく、スピードにもこだわった中継器。
さらに、中継器でありながら2.5Gbpsポートを搭載しているため、高速で安定した有線LAN接続も可能です。
最新の無線ルーターに匹敵する性能をもつ中継器「RE900XD」で、今お手持の無線ルーターを活かしつつ、快適なネットワーク環境を手軽に構築することができます。
「RE900XD」の製品概要
注目のポイント
製品仕様について
製品名 | TP-Link「RE900XD」 |
ワイヤレス規格 | IEEE 802.11a/n/ac/ax 5GHz, IEEE 802.11b/g/n/ax 2.4GHz |
周波数範囲 | 2.4GHz及び5GHz |
Wi-Fi性能 |
・デュアルバンド |
信号レート | AX6000 2.4GHz:1148Mbps/ 5GHz:4804Mbps |
ワイヤレスセキュリティ | WPA/WPA-PSK2/WPA3 |
ワイヤレスモード | 中継器モード/アクセスポイントモード(ブリッジモード) |
アンテナ | 内蔵アンテナ4本 |
メッシュ機能 | OneMesh対応 |
ポート | ・2.5Gbpsマルチギガポート×1 ・ギガビットポート×2 |
消費電力 | 23W |
サイズ | 200 × 189 × 59 mm |
重さ | 576g(本体実測値) |
システム要件 | Microsoft Windows 98SE, NT, 2000, XP, Vista™ or Windows 7, 8, 8.1, 10, MAC OS, NetWare, UNIX or Linux Internet Explorer 11, Firefox 12.0, Chrome 20.0, Safari 4.0等のJavaが利用可能なブラウザ |
パッケージ内容 | ・RE900XD本体×1 ・電源アダプター×1 ・LANケーブル(Cat5E)×1 ・スタンド×1 ・かんたん設定ガイド×1 |
■同梱物一式
機器設定について
TP-Linkの無線LANルーター・中継器をおすすめする理由の1つとして、オリジナルアプリ「Tether」を使うことで、誰でも迷いなく初期設定ができるところです。
定期的なアップデートでさらに使いやすくなったインターフェイスで、はじめて無線LANや中継器を設定する方でも、アプリのガイダンスに従って進めるだけで、セットアップすることができます。
スマホ用アプリはこちら。
また、アプリがなくてもPCやスマホのブラウザから、中継器の管理画面にもアクセス可能です。
SafariやChromeなどのウェブブラウザを起動し、アドレスバーに http://tplinkrepeater.net もしくは中継器の IPアドレス(デフォルトでは、http://192.168.0.254) を入力しenterキーを押します。
Wi-Fi6の性能を最大限に引き出すためには、WEB管理画面の「ワイヤレス設定」より、以下の3つの項目を「有効」に切り替えておきましょう。
「RE900XD」のデフォルト設定では、いずれも「無効」になっています。
アプリの管理画面からは設定が現時点ではできないため、ブラウザでアクセスすることで設定変更可能です。
※この機能を活かすためには、受け手のデバイス側もWi-Fi6対応の必要があります。
「RE900XD」のレビュー
特長1:アンテナ内蔵、選べる3つの設置スタイル
「RE900XD」は落ち着いたホワイトカラーで、飽きのこないシンプルなデザインです。
この手の機器は隠して設置したいと思いがちですが、デザイン家電のように見栄えもよいので、そのまま目にみえるところに置いてもインテリアのように映えます。
一方で本体の大きさは、従来のTP-Link無線LAN中継器と異なり、一見、無線LANルーターと変わらないサイズ感です。
とはいえアンテナ内蔵型のスリムな設計で、同社の無線LANルーター「AX80」と同様に縦・横・壁掛けの3つのスタイルを選べる、日本の住宅事情を考慮した柔軟な設置スタイルが特長です。
これまでは中継器と言えば、居住空間の中でも廊下など、見通しのよい場所にコンパクトに設置することを想定されていました。
「RE900XD」はデスクトップスタイルなので、省スペースですっきり設置したいというよりは、通信速度とカバレッジの広さなど、中継器としてパワーを重視して使いたい方向けのハイエンドなWi-Fi中継器と言えます。
1つ気になったところは、ACアダプターの形状です。
性能と小型化はトレードオフの関係で、コンセント直結型の中継器のようにコンパクトにはなりません。
設置するコンセントや電源タップによっては、他と干渉する可能性があるので、注意しましょう。
特長2:高速・広範囲に拡張できるハイパワーな中継器
性能面でも従来の中継からは大きくパワーアップしています。
「RE900XD」は、同社の無線LANルーター「Archer AX80」とほぼ同じ性能をもったWi-Fi6に対応した中継器です。
本体には4本のデュアルバンドのアンテナを搭載しているので、8ストリームで最大6Gbps(4804+1148Mbps)の高速通信が可能です。
特に、5GHz帯域でのスピードが4804Mbps(従来モデルの2倍!)もあるので、超高速。
また一般的に中継器は、Wi-Fiの届く範囲を広げることが得意で、速度が犠牲になりがちでしたが、その性能のおかげで通信スピードも期待できるモデルです。
同社の「Archer AX80」など、ほぼ同じ性能をほこる無線LANルーターと組み合わせることで、広範囲(200㎡)に高速な無線ネットワークを拡張することができます。
また、Archerシリーズ同士であれば、OneMeshによるメッシュWi-Fi網を構築することが可能なので、部屋すみずみまで安定した電波が届きます。
中でもハイエンドな「Archer AX80」と組み合わせることで、「メッシュWi-Fi×Wi-Fi 6」の快適なインターネット環境を構築して、AX6000の高速接続を最大限に活用することができます。
「RE900XD」ネットワークパフォーマンス結果
❶親機単体での計測結果
ここでは、「RE900XD」と無線LANルーター「Archer AX80」によるAX6000の無線通信環境を構築してパフォーマンスのテストしてみました。
まず最初に「Archer AX80」単体による計測結果です。
「Archer AX80」単体でもその性能の高さから、部屋のすみずみまで電波が届いている(電波状態が良い=緑色)のがわかります。
一方で、通信速度は親機近くであれば580Mbpsの速度がでていますが、離れた場所では390Mbpsと弱くなっています。
❷親機+中継器での計測結果
次に中継器「RE900XD」をデスクトップPCのある部屋に設置、親機に無線接続(メッシュWi-Fi)の環境で計測してみます。
さすが親機とほぼ同じ性能をほこる「RE900XD」だけあって、大幅に通信速度が向上して、親機近くと遜色のないWi-Fi環境を構築できていることがわかります。
同じArcherシリーズの下位モデルであれば、わが家の環境では単体での計測では下図のように、親機から離れれば離れるほど、電波も弱くなり、通信速度も落ちます。
このような環境では、RE900XDを中継器として追加することで、大幅にWi-Fi環境が改善することが期待できます。
❸RE900XD単体(アクセスポイントモード)での計測結果
最後に、参考までに「RE900XD」単体でアクセスポイントモードにて計測した結果を共有します。
アクセスポイントモードでは、有線ネットワークを無線化します。
Wi-Fi6対応無線LANルーターの「Archer AX80」とほぼ同等の性能をもつだけに、単体での電波のカバレッジも広く、通信速度も十分でていることがわかります。
特長3:マルチギガビット対応で有線接続での高速通信が可能
「RE900XD」本体背面には、2.5GbEポート×1、1GbEポート×2の合計3つのイーサネットポートを搭載し、安定した有線によるネットワーク接続も可能です。
従来の中継器ではポート数が限られていましたが、ポート数が増えた分、より使い勝手が向上しています。
例えば、デスクトップPCやFire TVなどのストリーミングデバイスには安定した有線接続を使いたいときなど、設置場所によっては有線ポートが不足することもあるので、これはうれしいポイントです。
また「RE900XD」には、2.5GbEポートが搭載されているので、マルチギガビットの有線LAN接続が可能です
中継器といえば、無線による中継だけだと思いがちですが、このマルチギガビットポートがあるおかげで、有線接続機器の無線化(有線による中継)も可能です。
例えば、より高速な通信速度が必要なゲーミングPCや大容量データをやりとりするNAS(2.5GbE対応)には、2.5Gbpsポートで有線接続することでストレスのない環境をつくることができます。
付属するLANケーブルも規格上2.5Gbpsまで対応しているCat5Eなので、そのまま使えるのもうれしいですね。
まとめ:高速・広範囲拡張が可能な中継器「RE900XD」
以上、Wi-Fi中継「RE900XD」のレビューでした。
「RE900XD」は超高速な無線LANルーターと変わらない通信速度とパワーを持ち合わせた、マルチギガビットポートにも対応したハイスペック中継機です。
特にArcher AX80など、OneMesh対応のWi-Fi6の親機をお持ちのユーザーには、その性能を無線でも最大限に拡張できる中継器としておすすめのモデルと言えるでしょう。
コンセントに直接さしこんで使うコンパクトタイプであれば、こちらの中継器がおすすめです。
もし、最初からメッシュWi-Fiを構築したいと考えているのであれば、同社のメッシュWi-Fiルーター「Deco」シリーズを居住スペースの広さや同時接続台数、セキュリティなどの付加機能の点から選ばれるとよいかもしれません。
わが家のネットワークの中核を担っている、「Deco XE75」はおすすめのWi-Fi6E対応トライバンドメッシュWi-Fiルーターです。