資産運用でリターンをあげるためにいちばん重要なのが、アセットアロケーションです。
アセットアロケーションとは、アセット(資産)のアロケーション(配分)、つまり資金を株式や債券、短期金融商品といった資産にそれぞれの特性を活かしながら配分することにより、全体としてのリスクを分散させて長期的にリターンを上げようとする考え方です。
このアセットアロケーションという考え方を最初に研究して発表した論文があります。
それはアメリカでゲイリー・P・ブリンソン(Gary P. Brinson, CFA)、ランドルフ・フード(Randolph Hood)、ギルバート・L・ビーバウワー(Gilbert L. Beebower)らが1986年に発表した「Determinants of Portfolio Performance」(邦題:ポートフォリオ・パフォーマンスの決定要因)というレポートになります。
◆英文の論文はこちらから読むことが可能です。
「Determinants of Portfolio Performance」 (ポートフォリオ・パフォーマンスの決定要因)
◆リバイスされた論文はこちらからどうそ。
「Determinants Of Portfolio Performance II: An Update」(ポートフォリオ・パフォーマンスの決定要因 II:アップデート)
米国の年金運用データを分析したこの論文では、株式や債券など、ある程度の分散投資が行われているポートフォリオにおいて、全体のリターンを決定するもっとも大事な要素は、投資する株式や債券の銘柄ではなく、投資のタイミングでもなく、どの資産にどれだけの割合で投資するかというアセットアロケーションであると結論付けています。
さらにアセットアロケーションはリターンの増減の93.6%を決定すると結論づけています。※後にレポートされたアップデート版では91.5%となっています。
同様に、2003年になってインデックスファンドで有名なバンガードグループが「Sources of Portfolio Performance: The Enduring Importance of Asset Allocation」(ポートフォリオ・パフォーマンスの源泉:揺るぎないアセットアロケーションの重要性)という調査結果を発表しています。このレポートでは「平均で月間リターンの変化量の76.6%がアセットアロケーションによるもの」と結論づけています。
※「Sources of Portfolio Performance: The Enduring Importance of Asset Allocation」(ポートフォリオ・パフォーマンスの源泉:揺るぎないアセットアロケーションの重要性)はこちらから読むことができます。
「Sources of Portfolio Performance: The Enduring Importance of Asset Allocation」(ポートフォリオ・パフォーマンスの源泉:揺るぎないアセットアロケーションの重要性)
The Vanguard Group Vanguard Investment Counseling & Research, July 2003
レポートによって数値は異なりますが、トータルパフォーマンスに占めるアセットアロケーションが大変重要であるということはわかります。
その他、参考レポートはこちら。
◆「Does Asset Allocation Policy Explain 40, 90, or 100 Percent of Performance?」(アセットアロケーションはパフォーマンスの40、90、100パーセントを説明する?)
Roger G. Ibbotson, Paul D. Kaplan
Financial Analysts Journal, January/February 2000
◆「The Importance of Asset Allocation」(アセットアロケーションの重要度)
Roger G. Ibbotson